米加州、消費者プライバシー法改正の提議、住民投票で可決の見込み

(米国)

サンフランシスコ発

2020年11月11日

米国カリフォルニア州で11月3日に住民投票が実施され、現地報道によると、カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)を改正する提議(Proposition 24)は賛成多数で可決される見通しだ(注1)。CCPAは2020年1月から施行されている(2020年7月9日記事8月21日記事参照)が、今回の提議はCCPAを改正し、消費者の権利をより強化するカリフォルニアプライバシー権法(CPRA:California Privacy Rights Act)とすることへの賛否を問うた。

同提議を推進してきた団体「Yes on 24」によると、アンドリュー・ヤン氏(注2)やエレニ・クーナラキス・カリフォルニア州副知事、ロンドン・ブリード・サンフランシスコ市長らが支持を表明していた。住民投票に先立ち、現地日系企業もCPRAとCCPAの違いなどに大きな関心を寄せており、投票の結果が注目されていた。

CPRAに基づくCCPAの改正点は次のとおりだ。

  • 消費者に新たな権利を付与する。個人情報の中でも特に手厚く保護すべき社会保障番号や運転免許証情報、金融口座、人種、位置情報などを「センシティブ個人情報」として新たに定義し、それら個人情報の事業者による使用を制限することを消費者に認める。また、消費者は事業者に不正確な個人情報の修正を要求することや個人情報の共有を制限することが新たに認められる。
  • CPRAでは16歳未満の消費者の個人情報に関する法令違反には通常の違反に比べて最大3倍(7,500ドル以下)の罰則が科される。これは、CPRAの主目的の1つが児童のプライバシー保護強化にあることに基づく。
  • CPRAは、プライバシー法を執行する権限を持つ州の個人情報保護機関の設立を定めている。

提議書によると、CPRAは2023年1月から施行予定とされる。提議の可決見込みを受けて、カリフォルニア州でビジネスを行っている日本企業は今後、CPRAのコンプライアンス対応が必要となる。

(注1)州務長官の発表によると、11月10日時点で賛成56.1%、反対43.9%。現在も集計作業は続いており、最終結果は12月11日までに確定する予定。

(注2)元民主党大統領候補。

(石橋裕貴)

(米国)

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