バイデン氏の経済政策に期待

(韓国、米国)

ソウル発

2020年11月11日

米国大統領選挙でジョー・バイデン前副大統領の当選確実を受け、韓国政府系シンクタンクの対外経済政策研究院(KIEP)は報告書「米国バイデン行政部の経済政策展望と示唆点」を発表した。報告書では、環太平洋パートナーシップに関する包括的かつ先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)への米国の再加盟に備え、韓国は対応策を講じる必要があると分析した。WTO構造改革にかかる韓国の立場の確立、自動車や半導体、医療機器など米国中心のサプライチェーン(供給網)再編過程に参加する方策を模索する必要性などを指摘している。

また、民間シンクタンクの現代経済研究院は報告書「バイデノミクス(注)の特徴と示唆」で、バイデン氏によって新型コロナウイルスによる経済的打撃からの回復、財政支出の拡大、中産階級の復調などが実現した場合、韓国の総輸出増加率は0.6~2.2ポイント、経済成長率は0.1~0.4ポイント押し上げられると見込んだ。

革新系新聞「ハンギョレ」は、米国のパリ協定復帰や炭素税の導入などバイデン氏の環境重視の政策に注目、韓国政府の「韓国版グリーンニューディール」と類似しているため好影響があるとするものの、新政権の発足までに具体的な対策を打ち出す可能性は低いとみている。

一方、最大発行部数を誇る保守系の「朝鮮日報」は社説を通じ、バイデン氏は中国に対する牽制のために同盟国との連帯を通じた「多国間主義」を強化するため、韓国が米中間での選択を強いられる可能性があるとし、周到な準備と対策を講じなければならないとした。

(注)米国の新大統領就任後の経済政策案(バイデノミクス)。

〔諸一(ジェ・イル)〕

(韓国、米国)

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