カザフスタン、カスピ海と黒海結ぶ河川輸送活性化に期待

(カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)

タシケント発

2020年11月27日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は11月17日、ユーラシア経済連合(EEU、注1)水運協定の批准に関する国内法案に署名した。この水運協定は2019年2月1日にアルマトイで開かれたユーラシア経済連合国家間評議会で合意したもので、EEU域内での水運の発展と協力関係強化のため、内陸水運の通過手続きの簡素化と2国間輸送の各国当局への通知手続きを定めている(「ザコンKZ」11月17日)。これにより、従来2、3カ月を要していた通過許可取得が10日間に短縮される。協定には、通過船舶の公平な待遇と、船員の身分証明書の相互承認、船舶文書や船員の身分保障などが盛り込まれている(カザフスタン電子政府 産業・インフラ発展省・運輸委員会ウェブサイト11月18日)。

この協定でカザフスタン政府が注目するのは、カスピ海と黒海を結ぶ「ボルガ-ドン運河」を経由し外洋へつながる物流の活性化だ。国内の物流のみならず、キルギスなど内陸のEEU加盟国や、EEU加盟国以外のカスピ海沿岸諸国からの関心も高まっており、2025年までに同ルートの物流量は150万トンに達すると見込まれている〔国営カザフスタン鉄道(KTZ)ウェブサイト11月19日〕。運輸・物流業界団体「カズロジスティック」関係者は、これら近隣諸国の物流を取り込むことにより、カスピ海横断国際輸送ルート(TITR)の起点となるアクタウ港とクリク港(2019年11月27日記事参照)の物流のゲートウエーとしての役割がさらに拡大することを期待している。

ボルガ-ドン運河は1952年に運用が開始された。ロシア南部ボルゴグラード市クラスノアルメイスキー地区と黒海沿岸の町カラチ・ナ・ドヌを結ぶ全長101キロの閘門(こうもん)式運河(注2)で、最大海抜88メートルの高低差を13の閘門でつないでいる。通過所要時間は23~32時間(船舶の大きさによる)、最大6,000トン級の船舶が利用できる(ロシア連邦ボルガ・ドン内陸水路管理局公式ウェブサイト)。

(注1)ユーラシア経済連合の加盟国は、ロシア、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、キルギス。

(注2)閘門式運河とは、起点と終点に大きな高低差のある運河の途中に閘門という構造物を幾つか設置し、閘門の開閉により水位を調節し、運河の流れを緩やかにして船を運航させるもの。閘門では、閘室という前後を扉で仕切った水面に船を入れ、扉の開閉によって水位を昇降させてから、一方を開いて船を進める。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア、ベラルーシ、アルメニア、キルギス)

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