警戒事態宣言を発令、カナリア州を除く全土で夜間外出禁止

(スペイン)

マドリード発

2020年10月27日

ペドロ・サンチェス首相は10月25日、新型コロナウイルスの感染状況は「極めて深刻」として、再びスペイン全土に警戒事態宣言PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発令した。これに伴い、25日夜からカナリア州を除く全土で、午後11時から午前6時までの不要不急の外出禁止などの措置が取られている。

各自治州は、それぞれの状況に応じて、上記時間の前後1時間の範囲内で外出禁止時間を独自に調整することができるほか、各州で一部・全域の封鎖措置を講じることも可能となる。また、既に大部分の自治州で施行済みだが、私有および公共の場所における集会の人数についても、6人以内に制限することができる。

最長で2021年5月上旬まで警戒事態を継続へ

政府によると、警戒事態は当初15日間の適用となるが、最長で2021年5月9日までの適用延長が可能となるよう、議会の承認を求める意向としている。

保健省の2020年10月23日の発表では、直近7日間の新規感染者数が前週から43%増加するなど感染状況が急速に悪化しており、ここ数日間、カタルーニャやバスクを含む自治州が、外出禁止や封鎖などの厳格な移動制限措置を相次いで決定していた。しかし、通常時に個人の自由を制限することは認められないとする司法判断により、移動制限措置の多くが無効化されたという経緯があり、自治州はその法的裏付けとなる警戒事態宣言の再発動を政府に強く要請していた。

カナリア州は欧州からの観光客受け入れを再開

夜間外出禁止措置の対象外となった、カナリア州の10月23日時点の直近7日間の10万人当たり新規感染者数は、44人(スペイン全体では191人)と比較的少ない。これを受け、ドイツと英国は10月24、25日に相次いでカナリア州への渡航制限を解除しており、秋冬にハイシーズンを迎える同州の観光業にとっては朗報となった。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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