中国、ラオスに対し全品目の97%の関税を免除する特恵関税供与へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2020年10月29日

在ラオス中国大使館の姜再冬大使とラオスのケムマニー・ポンセナー商工相は10月14日、中国の王毅外相のラオス公式訪問に合わせ、中国がラオスに対し全品目の97%の関税を免除する特恵関税を供与するとした文書を交換した。ジェトロが21日に商工省通商政策局へ確認したところ、正式な開始スケジュールは現時点では調整中とのことだった。

中国政府は2004年から、後発開発途上国(注)のラオスに対して、329品目を対象に特恵関税を供与しており、2009年からは459品目に拡大して関税を免除してきた。今回の合意は対象品目を大幅に増やすもので、コメや自動車などの一部の除外品目を除き、ラオスを原産国とするほとんどの品目の関税が免除されることになる。これまで459品目に適用してきた原産地証明書(フォームSPT:Form for the Special Preference Treatment)が引き続き使用されるとみられる。

商工省統計によると、2018年のラオスから中国への特恵関税(フォームSPT)を利用した輸出は、バナナや天然ゴムなど1,500万ドル。一方で、中国ASEAN自由貿易協定(フォームE)を利用した輸出は肥料、天然ゴム、鉱物、砂糖、木材など2億2,600万ドルだった。今回のラオスに対する供与拡大により、中国への輸出機会が増加することになる。

中国政府はラオス以外にも後発開発途上国に特恵関税を供与しており、2015年からは最大97%の品目にまで拡大し、順次供与を行っている。

写真 ラオス商工省(ジェトロ撮影)

ラオス商工省(ジェトロ撮影)

(注)後発開発途上国は、国連開発計画委員会が認定した基準に基づき、国連総会の決議により認定された特に開発の遅れた国々。3年に1度リストが改正されるが、直近では2018年12月に47カ国が認定されている。

(山田健一郎)

(ラオス)

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