セーシェル大統領選、史上初めて野党候補が与党の現職破り当選

(セーシェル、ケニア)

中東アフリカ課

2020年10月28日

インド洋に位置するアフリカのセーシェルで10月22~24日、大統領選挙と国民議会選挙が実施された。大統領選挙は前回2015年12月から5年ぶりに実施され、現職を含む3人が立候補した。同国選挙委員会の25日の発表によると、野党セーシェル民主連合(LDS)のウェイベル・ラムカラワン候補が得票率54.9%で、同43.5%だった与党セーシェル連合(US)の現職ダニー・フォール候補を破り当選した。1993年の第1回大統領選挙以来、野党候補の勝利は初めて。

海外メディアでは「政界に地震」とも表現され、歴史的な勝利と報じられている(BBC10月25日)。ラムカラワン氏は大統領選6回目の挑戦で当選を果たし、当選後のスピーチでは、隣に座るフォール氏に良き友人だとして連携を呼びかけた。11月2日に宣誓式を行う予定だ。

国民議会選挙では35議席中、LDSが25議席(比例5議席を含む)、USが10議席(同4議席)を獲得した。前回2016年の議会選挙以来、野党LDSが半数以上を占めるねじれ現象が起きていたが、今回の大統領選結果を受けて解消することになる。なお、議会選挙は通常5年ごとの実施だが、「新型コロナ禍」での選挙費用節約のため、当初予定より前倒しされ、大統領選との同日選となった。

セーシェルは人口約10万人で、115の島で構成される。英国のウィリアム王子夫妻が新婚旅行で訪れるなど、観光産業が有名だが、「新型コロナ禍」で主要産業の観光は打撃を受けている。3月以降、新型コロナウイルス感染予防のため国境を閉鎖していた(現在は政府が許可した国からの入国は可能)。IMFの予測によると、2020年の実質GDP成長率はマイナス13.8%で前年比17.7ポイント減と大幅な減速が見込まれる。なお、2021年は4.2%に回復すると予測している。

(小松崎宏之)

(セーシェル、ケニア)

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