9月の就業者数は約3万人減、失業率は6.9%に悪化

(オーストラリア)

シドニー発

2020年10月16日

オーストラリア統計局(ABS)は10月15日、2020年9月の雇用統計を発表し、就業者数(季節調整値)が前月から2万9,500人減少したことを明らかにした。失業者数は1万1,300人増加し、失業率は0.1ポイント悪化して6.9%となった。

就業者数は、8月に11万1,000人増と力強い伸びをみせたのに対して、9月はフルタイム労働者が2万100人、パートタイム労働者が9,400人それぞれ減少し、前月比0.2%減の1,257万1,900人となった。月間総労働時間は前月より0.5%増加したが、労働参加率は0.1ポイント低下して64.8%となり、不完全雇用率は0.1ポイント上昇して11.4%となった。

新型コロナウイルスの感染再拡大によって、8月2日に災害事態宣言を発令し、引き続き制限措置を課しているビクトリア州では、労働市場への影響が大きく表れている。同州の就業者数は、8月の前月比3万7,000人減に続き、9月には3万6,000人減少した。また、月間総労働時間は、8月に4.6%減少し、9月にはさらに2.1%減少した。9月の失業率は0.5ポイント改善して6.7%となったものの、労働参加率は1.0ポイント低下して63.0%となり、不完全雇用率は1.2ポイント上昇して14.9%となった。

なお、その他の州の失業率は、南オーストラリア州(前月比1.0ポイント改善の7.1%)、西オーストラリア州(0.4ポイント改善の6.7%)、首都特別地域(0.2ポイント改善の3.8%)で改善がみられた。他方、シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州では、0.5ポイント悪化して7.2%となったほか、クイーンズランド州(0.3ポイント悪化の7.7%)、タスマニア州(1.3ポイント悪化の7.6%)、北部準州(0.6ポイント悪化の4.8%)では悪化した。

今回の結果を受け、ジョシュ・フライデンバーグ財務相は「ビクトリア州では、過去2カ月間で7万3,000人の雇用が失われ、壊滅的な結果となった」と述べ、「ビクトリア州は制限措置を緩和すべきだ」と主張した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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