米ユタ州、新型コロナ感染拡大の第2波対策で新たなガイドライン公表

(米国)

ロサンゼルス発

2020年10月20日

米国ユタ州は10月13日、州内での新型コロナウイルス感染拡大に対処すべく、新たなガイドラインを発表した。米疾病予防管理センター(CDC)によると、人口比で見たユタ州の過去7日間の感染者数は10万人当たり39.1人(10月18日時点)で、カリフォルニア州(同7.8人)やネバダ州(同20.1人)、アリゾナ州(同10.8人)など近隣州を大きく超えている。今回のガイドラインでは、新規感染者数と検査陽性率、集中治療室(ICU)占有率の3つの指標に基づいて各郡の感染状況を「高位」「中位」「低位」に分類。それぞれの段階に応じ、屋内施設や社会的距離を確保できない屋外施設でのマスク着用を義務化ないし強く推奨しているほか、集会の人数や、レストランやバー、映画館やスポーツイベントにおける顧客の間の距離などの詳細を定めている。

10月16日時点で州内29郡のうち、州都のあるソルトレーク郡やユタ郡など6郡が「高位」、15郡が「中位」、8郡が「低位」の段階に区分されている。各郡の感染状況は毎週木曜日に見直され、制限が緩和される段階へは基準を2週間満たす必要があり、1週間満たせない場合はより厳しい段階に後退する。各郡の段階はウェブサイトで公表している。

ユタ州では9月中旬以降、新規感染者数が右肩上がりで急増している。1日当たりの新規感染者数が9月17日には1,000人を超え、10月7日には過去最高の1,493人を記録し、10月16日時点の過去7日平均の新規感染者数は1,224人と高水準を維持。検査陽性率も高止まりしており、9月中旬以降は13%を超える水準で推移している。

累積感染者数9万4,394人(10月18日時点)の内訳を見ると、感染者全体のうち、ソルトレーク郡とユタ郡で約70%を占め、年齢別では15歳から24歳が27%、25歳から44歳が36%を占めている。多数の郡が8月に学校での対面授業を再開しており、地元紙は、学校の再開が新規感染者数の増加を加速させていると専門家が指摘していたと報じている。

ユタ州のゲイリー・ハーバート知事は10月13日の会見で「わが州では国内でも最悪の感染拡大の1つが発生しており、この状態を受け入れることはできない」と述べ、感染の急拡大に強い危機感を示した。また、保健局のリチャード・サンダース局長代行は「マスク着用の有無により政治的な主張を行う人がいるが、政治を抜きに科学的に捉えれば、マスクは感染症対策として機能する」と述べ、州民に対してマスクを着用するよう呼び掛けた。共和党色が強いユタ州では、マスク着用に対する州民の抵抗が強いとされている(注)。

(注)サフォーク大学の調査によると、公共の場でのマスク着用について、回答者のうち35%が常に着用、20%が頻繁に着用、24%が時々着用、21%が着用したことがないと回答。調査は6月4~7日に500人を対象に実施。

(永田光)

(米国)

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