1~9月のGDP成長率、前年同期比2.1%、プラス成長を維持

(ベトナム)

ハノイ発

2020年10月07日

ベトナム統計総局は9月29日、2020年1~9月の実質GDP成長率(推計値)を前年同期比2.1%と発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2011年以降の同期間では最も低い成長率となった。それでも、国内の感染抑え込みに成功し、プラス成長を維持した。第3四半期(7~9月)の成長率は2.6%で、第2四半期(4~6月)の0.4%よりも上昇した。

1~9月の成長率を業種別にみると、農林水産業が前年同期比1.8%、鉱工業・建設業が3.1%、サービス業が1.4%となった(添付資料表参照)。多くの業種が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、成長が鈍化した。

農林水産業は新型コロナウイルスのほか、気候変動やASF(アフリカ豚熱)の影響もあり、小幅な伸びとなった。鉱工業・建設業の中では、製造業が4.6%とプラス成長を牽引したが、2011年以降の同期間では最も低い成長率となった。サービス業は宿泊施設や飲食の落ち込みが影響し、これも2011年以降の同期間では最も低い成長率だった。サービス業に含まれる卸・小売業の成長率は5.0%と前年の成長率を下回ったものの、高水準を保った。

2020年通年の成長率は2~3%の見通し

2020年の経済展望について、統計総局工業統計局のファン・ディン・トゥイ局長は「第4四半期(10~12月)も第3四半期同様の成長が見込まれる」と述べ、通年の成長率は2~3%になるとの見通しを示した。アジア開発銀行(ADB)は6月時点で通年4.1%成長を予測していたが、9月に1.8%に下方修正した。米金融大手ゴールドマン・サックスは9月のレポートで通年2.7%成長と予測している。

CPI上昇率は4.0%以下に

1~9月の消費者物価指数(CPI)上昇率(推計値)は前年同期比3.9%だった。2016年以降の同期間で最も高い上昇率となった。統計総局価格統計局のド・ティ・ゴック局長は「1~9月の食品の平均価格は前年同期比14.3%上昇し、CPI全体の上昇に大きく影響した。特にASFの影響を受けた豚肉の上昇率が70.6%と大きい」と指摘。通年の上昇率については、4.0%を下回るとの見通しを示した。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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