民間建設大手、電力公社傘下の発電事業会社の株式24%を取得へ

(ラオス)

ビエンチャン発

2020年10月13日

ラオス証券管理委員会は9月30日、ラオスの大手建設会社ポンサップタビー橋梁潅漑建設(ポンサワット・セナプアン会長)が申請していたEDL発電(EDL-GEN)の株式の24%に相当する約4億株を、ラオス電力公社(EDL)から取得することを承認した。EDL発電は、国営のラオス電力公社から発電部門を切り離して2010年末に設立され、翌2011年1月にラオス証券取引所に上場した発電事業会社だ。現在の発行済み株式は約16億7,930万株で、ラオス電力公社が75%を保有し、残りの25%が証券取引所を介して投資家に公開されている。今回の取得が完了すれば、ラオス電力公社の株式保有率が51%に減少し、ポンサップタビー橋梁潅漑建設は2番目の24%を保有する大株主となる(注)。

なお、ポンサップタビー橋梁潅漑建設は、民間企業として2001年に設立された。国道など大規模インフラ整備に民間企業が先行投資を行い、完成後に資金を政府から回収するBT(建設・譲渡)方式に積極的に参加し、現在でもラオス政府への債権を多く保有しているとみられる。発電やホテル、不動産、農業、鉱業など多彩な事業に参画しており、発電事業では国内8水力発電所〔計223.4メガワット(MW)〕で商業発電を行っているほかに、ベトナム国内に太陽光発電所(39MW)を有している。さらに今後は、大規模水力や火力、風力など主にベトナムへ輸出することを目的に、3,500MWもの電源開発を計画している。

ラオス電力公社は、対外債務の膨張など財務状況の悪化から経営再建を進めており、2020年9月には230キロボルト(kV)以上の高圧送電部門を分離し、中国南方電網と合弁会社のラオス国家送電線(EDL-T)を設立した。今回の保有株式の売却も、財務改善化の1つとみられる。

写真 EDL発電も入居するラオス電力公社本社ビル(ジェトロ撮影)

EDL発電も入居するラオス電力公社本社ビル(ジェトロ撮影)

(注)これまでに売却・購入額は発表されていない。ラオス証券市場では1株約2,400キープ(約28円、1キープ=約0.0116円)(2020年10月8日時点)で取引されている。

(山田健一郎)

(ラオス)

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