マハーラーシュトラ州、新ガイドラインでメトロ再開へ
(インド)
ムンバイ発
2020年10月20日
インドのマハーラーシュトラ(MH)州は10月14日、段階的ロックダウン解除に関する新たな州独自のガイドラインを通達した(添付資料参照)。メトロの再開を許可するなど、これまで他州と比較して慎重な制限緩和策を採ってきた同州が経済や市民生活の正常化へ大きくかじを切った。
新ガイドラインでは、10月15日からメトロの運行再開を許可しており、ムンバイ・メトロは19日からの営業再開を発表した。これにより、特にムンバイ市民の通勤状況が大きく改善される。一般市民の通勤手段はこれまで、自家用車や社用車、タクシーを除けば、在来鉄道(乗車条件を一部職種に限定)やバスなどに限られていた。そのため、バスには利用客が集中し、さらに、ソーシャル・ディスタンスを確保するため乗車人数を制限したことにより、バス停には多くの人があふれていた。今回のメトロ再開には職種などの乗車制限はなく、移動環境の大幅な改善が期待される(「タイムズ・オブ・インディア」紙10月15日)。
このほか、新たに認めたのは、オンライン授業などのための教職員の出勤(通常の50%を上限)や、政府が指定する技能訓練施設などでの訓練、高等教育機関などの研究施設、図書館の再開だ。ビジネス面でも、当局が通達する感染防止のための標準作業手続き(SOP)の順守を条件に、BtoB(企業間)展示会の再開、混雑緩和を目的に商業施設の営業時間延長(午前9時~午後9時の時間帯)を認めた。また、発熱など新型コロナウイルスの感染症状がない国内航空便利用者への検疫作業の簡略化も同時に発表した。
MH州の感染状況は一進一退を繰り返し、楽観視できない面がある。感染収束が進まない理由として、ロックダウン緩和による人の接触機会の増加を指摘する声も多いだけに、今回のメトロ再開には大きな懸念も残る。しかし、これ以上の経済停滞は市民生活、特に低所得層の生活を一層厳しくするため、州政府は経済・市民生活の改善にかじを切ったとみられる。
(比佐建二郎)
(インド)
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