英国の鉄鋼セーフガード、EUの措置から7品目解除へ

(英国)

ロンドン発

2020年10月02日

英国政府は9月30日、EUの鉄鋼製品セーフガード措置(注)の継承について詳細外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同措置は、不公正な貿易慣行または予期せぬ輸入の急増によって起こる影響から国内産業を保護することが目的で、特定の鉄鋼製品の英国への輸入に関税割当が適用される。

これまで英国政府は、EUの鉄鋼製品セーフガード措置を維持する方針を示していたが、今回の発表で、同措置26品目のうち19品目が維持され、残り7品目(電気シート、ステンレス熱間圧延シート、矢板など)は解除される。このため、維持する19品目の新たな関税割当は、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う移行期間が終了する2020年12月31日午後11時(欧州時間2021年1月1日午前0時)以降、適用される。

英国の鉄鋼製品セーフガード措置は、対象の19品目ごとに関税割当枠(クオータ)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが設定され、各割当枠の一部が、指定された輸入元となる国・地域に割り当てられる。残りの割当枠は、適用期間の各四半期に均等に設定された関税割合を基に先着順で割り当てられる。各四半期の終わりに、割当枠の未利用分は次の四半期に繰り越されるが、最終四半期の未利用分は次の年へは繰り越されない。また、最終四半期に限り、指定国が割当枠を使い果たした場合、その品目の残りの割当枠を利用できる。割当枠を超過した場合は、25%の追加関税が課される。特定の鉄鋼製品の英国への輸入量が少ない開発途上国の関税割当の免除と、その例外なども併せて発表された。

今後、英国の貿易救済調査局(TRID)が、当該19品目のセーフガード措置の英国市場における妥当性を分析する「移行レビュー」を実施する。同レビューにより、割当枠やその配分、超過分の関税率などの変更が答申された場合は、国際通商省が答申受け入れの是非を判断する。

(注)EUは2019年2月から、鉄鋼輸入に関わる緊急輸入制限(セーフガード)措置を発動している(2019年2月4日記事参照)。

(宮口祐貴)

(英国)

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