国境特別経済開発区(SEZ)の最新開発および投資状況を公表

(タイ)

バンコク発

2020年10月05日

タイ国家経済社会開発庁(NESDC)は9月24日に、国境特別経済開発区(SEZ)10カ所(添付資料図、表1参照)の最新開発および投資進捗状況外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。国境SEZ開発は2015年以降、政府が進めており、各SEZには投資委員会(BOI)、工業団地公社(IEAT)、歳入局、関税局がそれぞれ投資恩典を設けている。

SEZ10カ所への2015年から2020年9月までの累積投資額(タイ政府の投資を含む)は、約237億バーツ(約782億円、1バーツ=約3.3円)となっている。他方、上記恩典にかかわらずSEZに登記した企業数は2015年から2020年6月までで4,399社(資本金合計87億バーツ、うち中小企業が98%)、業種は建設、物流、衣類の製造、発電、ホテルなどとなった。登記ベースでは、ターク県(1,041社)、チェンライ県(929社)、ノンカイ県(723社)、ムクダハン県(579社)、ナコンパノム県(420社)の順となった。また、政府からの投資として、IEATがサケオ県とソンクラー県のSEZに約21億バーツの投資を行ったほか、トラート県、カンチャナブリ県、ナコンパノム県の土地開発への、民間企業による投資金額は約51億バーツとなった。

個別の投資恩典の利用状況については、BOIが認可、投資実施済みの案件は44件、約76億バーツとなっている。業種は、衣類、プラスチック、家畜飼料、自動車、機械および同部品の製造、医療用のゴム手袋などとなっている。申請ベースでは85件、約176億バーツとなり、タイとの国境貿易が最も盛んなマレーシアと国境を接する、ソンクラー県への投資が16件、約89億バーツと金額ベースで約半分を占めた。また、外資による投資申請をみると、医療用ゴム手袋、プラスチック製品の製造などで26件、約32億バーツとなり、申請総額の20%弱になっている。なお国別の投資状況は、添付資料表2参照のこと。

さらに、関税局の投資恩典(注1)利用申請は、製造・商業用のフリーゾーンの設立、保税倉庫の設立の2件、約1億バーツとなっている。

なお、SEZ入居企業は、歳入局の税制恩典(注2)、関税局の投資恩典、中小企業の中古機械使用許可などの恩典だけでなく、地理的な優位性を生かし、ミャンマー、ラオス、カンボジアなど近隣諸国からの労働者も雇用することができ、労働者不足問題の解決および人件費削減のメリットがある。2017年10月から2020年7月までの累計で、SEZで働く近隣諸国の外国人労働者数は約40万人に達している。また、投資・近隣諸国労働者の雇用を円滑に進めるために、各SEZにワンストップサービスセンター(OSS)が設置されている。

(注1)保税倉庫を設立する場合、申請者の資本金を1,000万バーツ以上から500万バーツ以上に減額する。フリーゾーンを設立する場合、申請者の資本金を6,000万バーツ以上から1,000万バーツ以上に減額する。

(注2)10会計年度にわたり、法人税を20%から10%にする。利用申請期限は、2020年12月30日まで。

(高谷浩一、トンワニッチャノッパクン・ニチャーパッタラ)

(タイ)

ビジネス短信 6211339de66dd886