カリフォルニアなど米西海岸4州、新型コロナウイルスワクチンの検証で連携へ

(米国)

サンフランシスコ発

2020年10月30日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は10月27日、同州が立ち上げた新型コロナウイルスワクチンに関するワーキンググループ(COVID-19 Scientific Safety Review Workgroup)に、西海岸のワシントン、オレゴン、ネバダの3州が参加することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同ワーキンググループは、免疫や公衆衛生を専門とするカリフォルニア州の有識者から構成され、米食品医薬品局(FDA)が今後承認するワクチンを州内で配布する前に、その安全性や効果を独立して検証する役割を担う。

同ワーキンググループの設立は、カリフォルニア州政府が策定したワクチン配布計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの一部だ。同計画はワクチンの配布・管理に当たり、(1)ワクチンが安全性の要件を満たすこと、(2)感染リスクが高い人にまず配布され、その後公平に配布されること、(3)地域の利害関係者が関与して透明性を確保することを掲げている。

今回参画する3州からも専門家が参加し、西部4州で配布するワクチンの安全性・有効性を検証する。ニューサム知事は、「地域を越えて、われわれの全てのコミュニティーにとって健康的で安全な道筋をつけるために、このワーキンググループを通して近隣の州と連携できることに感謝する」と述べた。ワシントン州のジェイ・インスレー知事、オレゴン州のケイト・ブラウン知事、ネバダ州のスティーブ・シソラック知事も10月27日、それぞれワーキンググループへの参加を表明した。

今回の西部州の動きは、米国で連邦政府が承認するワクチンの使用に慎重な姿勢が広がっていることを示唆する。実際に、米シンクタンク、ピュー・リサーチ・センターが米国の成人約1万人に行ったアンケート調査結果(注)によると、77%が「安全性や効果が完全に検証される前に、ワクチンが使用される可能性がある」と考えている。「もし今日、ワクチンが接種可能であれば、接種するか」という質問に対しては、「絶対接種する」(21%)と「おそらく接種する」(30%)を合わせた回答割合は51%にとどまる。接種しないと回答した人にその理由を聞くと、76%が「副作用への懸念」を主な理由に挙げた。

(注)調査実施時期は9月8~13日。対象者は米国の成人1万93人。

(石橋裕貴)

(米国)

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