新型コロナ禍のザンビア、財政悪化により債権者への支払い延期を要請

(ザンビア、南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2020年10月05日

ザンビア財務省は9月22日、同国が起債したユーロ債の債務返済延期を求める「同意要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(consent solicitation)」を債権者に通達した。ザンビア政府が返済延期を求める債務の内容は以下のとおり。

  • 2022年に満期を迎える債務(利回り5.375%)、7億5,000万ドルの支払い6カ月間延期(当初の支払い期限は2020年10月14日)
  • 2024年に満期を迎える債務(同8.5%)、10億ドルの支払い6カ月間延期(同2021年1月30日)
  • 2027年に満期を迎える債務(同8.97%)、12億5,000万ドルの支払い6カ月間延期(同2021年3月20日)

同省は債務返済の延期を求める理由について、以前から財政状況が思わしくなかったことに加えて、2020年に入ってから新型コロナウイルスの感染拡大が歳入減と予期せぬ歳出増を同時に招き、返済を期限内に行うことが難しくなったとしている。この危機的状況に対応するため、政府は8月に20カ国・地域(G20)による最貧国向け「債務返済猶予イニシアチブ(DSSI)」に申請したほか、IMFと財政安定化のために協議を続けているとし、財政状況改善に向けた取り組みをアピールした。

米国大手格付け会社のフィッチ・レーティングスは9月24日、ザンビアの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)を「部分的デフォルト(RD)」の1段階上となる「C」に格下げした。フィッチは債務支払い延期分については、ザンビア政府と債権者との間で「財政難による債務の条件変更(distressed debt exchange:DDE)」が行われるとの見解を示している。

この同意要請発表後の9月25日に財務省が発表した「2021年度予算案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、2020年6月末時点の対外公的債務は2019年末時点の114億8,000万ドルから4.3%増となる119億7,000万ドルに拡大したと、財政状況の悪化を伝えている。一方で、対外債務は既に185億ドルに達しているとの報道もある(「ルサカ・タイムズ」紙9月30日)。

銅の輸出に依存するザンビア経済は、近年の世界的な資源価格の低迷により不振が続いており、IMFは6月、ザンビアの2020年のGDP成長率はマイナス5.1%に落ち込むと予測している。

(高橋史)

(ザンビア、南アフリカ共和国)

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