2020年米国大統領選挙が韓国経済に与える影響を分析

(韓国、米国)

ソウル発

2020年10月08日

韓国の全国経済人連合会(以下、全経連、日本の経団連に相当)は9月28日、報告書「2020米国大統領選の公約分析」を発表し、共和党および民主党の大統領選挙の公約集のうち、通商・貿易政策、対中政策を比較し、韓国経済界が取るべき対策を示唆している。

通商・貿易政策については、共和党、民主党ともに「米国の利益優先」基調を維持し、米国の競争力と利益向上を最大の価値として知的財産権保護の強化、海外腐敗行為防止法(FCPA)などを推進する方向性で共通している。また、民主党は新たな貿易協定を締結する際、米国労働者の保護条項を基本とする公約を掲げる一方、共和党は米国の雇用を保護する公正取引法の制定を確約するなど、両党ともに米国の労働者と雇用の保護を最優先としている。

全経連は、現共和党政権の代表的な方針である「米国第一主義(America First)」が、民主党の公約にも盛り込まれている点に注目している。現共和党政権での保護貿易主義措置の影響により、韓国が経験した自動車、鉄鋼関連の関税およびセーフガードなどの措置は、今回の大統領選挙の結果と関係なく、今後も維持される可能性が高いと分析している。

対中政策においても、両党の公約に大きな違いはないものの、民主党の態度の変化について指摘している。2016年の民主党の政策要綱に示されていた「1つの中国(One China Policy)」を是認する文言が今回の公約では削除され、南シナ海や香港問題などにも言及しつつ、中国に対する強硬な立場を示している。

全経連は「米国第一主義と米中対立が継続されることは明らかで、これは韓国経済にとって赤信号だ。これまでの経験をもとに、韓国政府と経済界がともに不確実な通商・貿易環境に備える必要がある」と強調している。

〔当間正明、申守智(シン・スジ)〕

(韓国、米国)

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