選挙後16カ月の交渉を経て、7党による連立政権が発足

(ベルギー)

ブリュッセル発

2020年10月06日

ベルギーで10月1日、7党による連邦新政権が発足した。2019年5月に実施された連邦・地域議会総選挙(2019年5月28日記事参照)の後、連立交渉が難航していたため、組閣までに16カ月を要した。連立政権は選挙で第2党だったフランス語系社会党(PS)(注1)と、第4党のフランス語系穏健リベラル派の改革運動(MR)、第6党のオランダ語系穏健リベラル派のフランダース自由民主党(Open VLD)など7党で構成される。

首相には、Open VLDのアレクサンドル・ド・クロー氏が就任する(添付資料表参照)。ド・クロー新首相は2012年から歴代内閣で副首相を務め、前暫定政権でも副首相兼財務・開発援助相に就いていた。

中道とリベラル、環境派からなる連立内閣の交渉妥結を発表する際、ド・クロー新首相は、新型コロナウイルスで影響を受けた社会や経済を立て直すためにも、国全体がこれまで以上に強く結束し、互いに尊重することが重要だと強調した。新首相の方針を受けて、新政権には連邦政府文化機関相のポストが新設され、暫定政権時のソフィー・ウィルメス前首相が起用された(注2)。また、閣僚20人中の半数を女性閣僚が占め、ジェンダーバランスにも配慮した政権となった。

今回の組閣では、第1党だった地域独立派の新フランダース連合党(N.V-A)が連立政権に参加しない上、選挙で議席数を大幅に伸ばして第3党に躍進したオランダ語系の極右政党フランダースの利益(Vlaams Belang、VB)も加わっていない。この2党は連邦議会の全150議席のうち、43議席を占めており、「組閣に民主主義が反映されていない」という批判も既に出ている。

(注1)ベルギーでは、政策の傾向に加えて、国内の公用語(フランス語、フラマン語、ドイツ語)別に政党が存在する。

(注2)ベルギーでは連邦制を採用しており、文化や教育分野は連邦政府の管轄ではなく、各言語共同体政府の所轄。

(大中登紀子)

(ベルギー)

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