ベルギー通信大手2社が5G関連設備の調達先としてノキア、エリクソンを選定

(ベルギー)

ブリュッセル発

2020年10月14日

ベルギー通信最大手のプロキシマスと、フランス通信大手オランジュのベルギー法人は10月9日、国内の第5世代移動通信システム(5G)の構築に当たり、無線ネットワークアクセス(RAN)用設備の調達先として、フィンランドのノキアを選定したと発表した。両社ともに、2023年までに既存設備の刷新を図る。

プロキシマス、オランジュともに、これまで中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)のRAN設備を使用していたが、5G用の設備とともに、既存の2G、3G、4Gの設備もノキアのものに置き換える。オランジュについては、ルクセンブルクのRAN設備についても同様に、ノキアから調達することを発表した。

また、プロキシマスは、交換機などを含む通信網の中核部分であるコアネットワーク(CN)用設備については、スウェーデンのエリクソンから調達を行うことを発表。既に同社のCN用機器を採用しているオランジュと同様、フル規格の5G環境を提供できるスタンドアローン方式の通信網構築に向けて整備を進めていく。

プロキシマスは、今回の決定により、移動通信分野への2021年から2023年にかけての設備投資額は、2020年3月時点の計画よりも最大で8,000万ユーロ軽減できると予測している。

プロキシマスとオランジュは、2019年7月にRANを将来的に共有することで合意しており、今回、両社ともにノキアを選定したことで、コストおよび技術の両面において、同計画にプラスに作用することが期待される。

5G関連設備のサプライヤー選定をめぐっては、ベルギー国家安全保障会議が2020年6月に、不正アクセスを防ぐため、安全面で厳格な基準を課すことを決定した。また、当時のフィリップ・ドゥ・バッケル・デジタルアジェンダ・通信・郵政相は、連邦下院での答弁において、「高リスク」サプライヤーについて社名を開示することはなかったものの、既に特定されているとし、それらサプライヤーは、CNへの設備納入は禁止されるとともに、アンテナなどのRAN設備については総数の35%までに制限される旨の発言を行っていた(注)。

(注)ただし、ベルギー政府が定める機密性の高い場所(sensitive sites)へのRAN設備の納入は禁止される。機密性の高い場所については、明確に発表されていないが、各種報道では空港、港湾施設、国際機関(EU関連機関、NATOなど)とされている。

(山田泰慎)

(ベルギー)

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