中小企業へ投資する「ビジネス成長ファンド」を設立

(オーストラリア)

シドニー発

2020年10月22日

オーストラリア連邦政府は10月16日、中小企業への投資を目的とする「ビジネス成長ファンド(BGF)」を設立したと発表した。新型コロナウイルス感染拡大による経済的打撃からの回復を目指す中、中小企業にエクイティ投資を行い、雇用創出と経済成長を支援する狙いがある。

これは、2019年5月の連邦総選挙の際にモリソン首相が掲げた政策の1つで、英国における同種の取り組みを参考とした、連邦政府と民間金融機関や退職年金基金(スーパーアニュエーション・ファンド)などが出資する枠組みだ。BGFの設立に当たって、連邦政府とともに、オーストラリアの4大銀行であるオーストラリア・ニュージーランド銀行、コモンウェルス銀行、ナショナル・オーストラリア銀行、ウエストパック銀行がそれぞれ1億オーストラリア・ドル(約74億円、豪ドル、1豪ドル=約74円)を出資する。さらに、金融大手のHSBCとマッコーリー・グループがそれぞれ2,000万豪ドルを出資する。これによって、運用枠は5億4,000万豪ドルとなるが、将来的には10億豪ドルまで拡大することを目指すという。

BGFは、最高経営責任者に民間金融機関の経験者を置き、連邦政府からは独立して商業ベースで運営される。投資対象は、年商200万豪ドルから1億豪ドルの間で、過去3年間の実績において成長性や収益性のある中小企業となる。実績の評価に当たっては、新型コロナウイルスの影響が考慮される。投資額は、500万豪ドルから1,500万豪ドルの間で、BGFの持ち分が10~40%となる範囲で行われる。

オーストラリア小企業・家内企業オンブズマン(ASBFEO)はBGFの設立を歓迎し、「成長可能性の高い中小企業を支援し、ビジネスの成長と経済の回復を促進する上で、BGFは重要な役割を果たすだろう」と期待を寄せた。

(住裕美)

(オーストラリア)

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