国務院、上場企業の質向上へ方針発表、より多くの海外投資家に戦略投資認める

(中国)

北京発

2020年10月26日

中国国務院は10月9日、「上場企業の質をさらに向上させることに関する意見(意見)」(国発[2020]14号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表し、企業のガバナンスと競争力の強化、上場廃止メカニズムの改善、監督管理や罰則の強化など計17項目の措置を通じて上場企業の質の向上を図る方針を示した。今回の措置を打ち出した背景には、米国ナスダック上場の中国コーヒーチェーンのラッキンコーヒーが不正会計問題で上場廃止となるなど、中国企業のガバナンスが注目されていたことがある。

「意見」では、企業ガバナンスの強化に関して、主要株主や経営者、役員の職責と法的責任を明確化し、機関投資家が上場企業のガバナンスに関与するチャンネルや方法を整備すること、上場企業による財務情報などの開示の透明性と質を向上させることなどを規定した。

企業競争力の強化の面では、上場企業の資産再編や買収、スピンオフ上場などの制度を整備すること、より多くの条件を満たす海外投資家に中国上場企業への戦略投資を認めることなどを盛り込んだ。一方、情報の違法開示や市場操作、インサイダー取引など不正行為に対しては処罰を強化する。

中国の上場企業の現状について、証券監督管理委員会(証監会)の閻慶民副主席は10月12日の国務院記者会見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「10月9日時点で、中国の上場企業は4,056社(注)、合計時価総額は約74兆元(約1,184兆円、1円=約16円)に上り、幅広い業種にまたがっている」と紹介した。

証監会上場企業監督管理部の李明主任は、より多くの海外投資家に中国上場企業に対する戦略投資を認める措置について、「資本市場のハイレベルな対外開放、上場企業の国際競争力や質の向上に重要な意義を有する」と評価した。また、李主任は「現在、証監会は関連部門と『外国投資者の中国上場企業への戦略投資に関する管理弁法』の修正作業を進めている。修正内容には、海外投資家の参入における財務面の基準の引き下げや、上場企業のクロスボーダー株式交換条件の緩和、外国投資家による投資後の株式譲渡停止期間の短縮、戦略投資の実施主体の範囲を外国自然人まで広げることなどが盛り込まれている」と紹介した。

(注)上海証券取引所と深圳証券取引所の上場企業数の合計。

(趙薇)

(中国)

ビジネス短信 0e31d821dce74592