回復移動制限令(RMCO)、12月末まで延長、出入国制限続く

(マレーシア)

クアラルンプール発

2020年09月03日

マレーシアのムヒディン・ヤシン首相は8月28日、6月10日から8月31日まで実施の回復移動制限令(RMCO)を12月31日まで延長することを発表した。国内の新型コロナウイルス感染者数は1日当たり数人から十数人程度と落ち着きを見せているが、小規模なクラスター感染の発生や世界的な感染者数の増加に鑑み、延長を決定した。

出入国と観光などを一部制限

RMCO下では7月ごろに禁止業種や活動の再開が順次行われた。9月1日以降は以下が禁止業種・活動となる。

  • 観光を含む短期滞在を目的とした外国人の入国
  • 永住権や長期滞在ビザ保有者以外のマレーシア人の出国
  • 大勢の観客および海外からの参加者を伴うスポーツ大会や競技会
  • マレーシア人の海外での観光
  • 管轄大臣が認める国以外の外国人観光客が参加するマレーシア国内での観光
  • レストラン営業をしていないパブ、ナイトクラブ
  • ソーシャルディスタンスが確保できず、政府が定める方針に沿わない場所での大勢の人が参加する全ての活動

このほか、政府が定める標準手順書(SOP)の順守が引き続き求められる。具体的には、建物や店舗への入場時の登録・検温、混雑する公共の場でのマスクの着用義務、ソーシャルディスタンスの確保などを守ることが求められる。

罰金の引き上げも検討

政府による活動制限は「1988年感染症予防管理法」に基づいて実施され、違反した場合には罰金もしくは禁錮、またはその両方が科される。現行法の罰金額は1,000リンギ(約2万6,000円、1リンギ=約26円)となっている。罰金額について、低所得層や学生などの負担を考慮して引き下げるべきとの意見も一部議員からあるが、保健省は8月25日に「現在の物価水準を考慮し引き上げるべき」として、1万リンギへの引き上げを提案した。ムヒディン首相は8月28日のRMCO延長の発表時、保健省の提案を支持し、国民にマスクの着用や手洗い、混雑を避けるなどの個人による十分な予防対策を取るようあらためて勧告した。

(田中麻理)

(マレーシア)

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