ルカシェンコ大統領、6期目の就任式を実施

(ベラルーシ)

欧州ロシアCIS課

2020年09月25日

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の6期目の就任式が9月23日、首都ミンスクで行われた。就任演説で「新型コロナ禍」において国民への支援を継続した成果を強調、内政面では憲法改正に取り組むと述べた。一方、ドイツやポーランドなどEU加盟5カ国は大統領の正当性を認めていない。

就任式は8月9日の大統領選挙の結果を受けたもの(2020年8月12日記事参照)。ルカシェンコ大統領は演説で「今年は前例のない困難に直面したが、国家は年金生活者や大家族など社会的弱者に対する支援を継続した」と成果を強調。新型コロナウイルス感染症流行という社会混乱の中でも良識的な行動を取り続けた国民に謝意を示し、「厳しい時期に国家に忠実だった国民を私は放棄するわけにはいかない」と語った。

内政面の改革については、憲法改正に取り組むとし、政党政治の導入、選挙法の改正、地方自治改革を行うと強調した。経済分野については、技術革新と経済効率化を追求すると述べるにとどまり、具体的な政策に関する言及はなかった。

今回の就任式について、大統領府は共和国院(上院)と代表者院(下院)の議員、政府機関のトップなど700人を招待したと発表。一方、各種メディア報道によると、就任式は事前に公表されておらず、ロシアを含む外国に対しても通知していなかった(ロシア紙「コメルサント」9月23日)。

野党指導者のスベトラーナ・ティハノフスカヤ氏は就任式を「茶番劇」と評し、野党調整評議会(注)のパベル・ラトゥシコ議長は無期限抗議デモの実施を呼びかけた(「コメルサント」紙9月23日)。

ドイツとポーランド、スロバキア、リトアニア、エストニアの5カ国はルカシェンコ大統領の正統性を認めていない。ドイツ首相府のシュテフェン・ザイベルト報道官は「就任式は秘密裏に準備され、社会の参加なく実施された。就任式後、ルカシェンコ氏の民主主義的な正統性の欠如はもはや確実となった」と指摘している(「コメルサント」紙9月23日)。

(注)ベラルーシにおける権力移譲を目的に、スベトラーナ・ティハノフスカヤ氏の提唱で8月18日に設立された機関。正式名称は「ベラルーシにおける政治危機を克服するプロセス実施のための調整評議会」。主要な野党指導者のマリヤ・コレスニコワ氏のほか、ノーベル文学賞を受賞したスベトラーナ・アレクシエビッチ氏をはじめとする作家、芸術家、医師、政治学者、エコノミスト、人権活動家など幅広い分野の有識者が参加している。

(齋藤寛)

(ベラルーシ)

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