欧州委、「資本市場同盟」強化のための行動計画を公表

(EU)

ブリュッセル発

2020年09月25日

欧州委員会は9月24日、「人々とビジネスのための資本市場同盟に関する新しい行動計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」と題する政策文書を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。資本市場同盟に関する行動計画は2015年にも発表されているが、欧州委は、「新型コロナ危機」に直面する中、企業や資本家による投資を促進し、各加盟国の資本市場統合を強化する必要があることを新計画発表の理由に挙げた。

経済回復に必要な民間投資誘導のための環境整備

資本の自由移動は、物品、サービス、人の移動とともに、EU単一市場の主要要素だ。しかし、欧州委によると、各国の監督体制や税制、破産法の差異や取引慣行の違いなど、単一の資本市場を実現する上で障壁は少なくない。また、現在の「コロナ危機」に対して、EUとしてさまざまな復興対策を打ち出しているものの、経済の回復には大規模な民間投資の誘導が不可欠となる。新しい行動計画はこうした課題に対応すべく、以下の3つの柱を掲げ、16の具体的な行動目標を設定している(添付資料参照)。

  1. 欧州企業とりわけ中小企業の資金へのアクセスを改善し、グリーン・デジタル・包摂的・レジリエントというEUの政策目的に合致した経済回復を下支えすること
  2. EUが個人にとって一層安心できる貯蓄先であり、長期の投資先となること
  3. 各加盟国の資本市場を真のEU単一市場へと統合していくこと

欧州最大の金融センターである英国のEU離脱も、EU資本市場のテコ入れを優先順位の高い課題に押し上げた。金融セクターの英国からEU域内への機能移転を推し進めるべく、EU域内での資本および情報の移転の最適化が欠かせない、と説明している。

(安田啓)

(EU)

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