タミル・ナドゥ州、電子機器産業振興政策を発表

(インド)

チェンナイ発

2020年09月17日

インドのタミル・ナドゥ(TN)州政府は9月7日、州の電子機器産業振興政策「Tamil Nadu Electronics Hardware Manufacturing Policy 2020」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。2025年までに州の電子機器産業の生産高を1,000億ドル規模に増やすことや、州内の電子機器産業の輸出が国全体の同産業輸出の25%以上となることを目標とする。投資を実施した企業には、投資金額や雇用人数などに応じて優遇措置を付与する。

TN州は南インドを代表する自動車産業の集積地だ。電子機器産業は自動車産業ほど企業集積が進んでいないが、韓国のサムスン電子や台湾の電子機器受託生産(EMS)大手フォックスコンなどが製造拠点を構えている。州政府は電子機器分野でも外国企業を誘致し、産業の多角化を進める考えだ。

州独自の優遇措置を複数盛り込む

今回発表した振興政策では、州が達成すべき目標、投資に対する優遇措置、州政府によるサポートなどを盛り込んだ。TN州はこの政策を通じ、革新的で世界的な競争力を持つ電子機器システムの設計製造(ESDM)の拠点となることを目指す。

優遇措置では、条件を満たす大規模プロジェクトには15~25%、メガプロジェクトには18~30%の資本補助金を給付(添付資料参照)する。また、以下のような補助金や免税措置も適用する。

  • 土地リース代に対する補助金
  • 土地購入時の印紙税免除
  • 州出身従業員に対する研修への補助金
  • 利子補給補助金
  • 電力税の免除
  • 排水処理施設や有害廃棄物保管・処理施設などの環境保護インフラ設置に対する補助金
  • 特許や品質保証申請にかかる費用に対する補助金

優遇措置の対象となるのは2020年1月1日以降に実施された投資で、中央政府の優遇措置に加えて付与するとしている。さらに、半導体産業の投資については、特別な優遇措置も付与する。

その一方で、優遇措置の適用範囲や条件については、具体的に明記されていない部分や、案件によって差が出る部分なども見られる。例えば、優遇措置適用対象となる電子機器製造企業の定義は明確には記載されていない。また、土地リース代に対する補助金や土地購入時の印紙税免除では、州政府系の工業団地に入居する場合と私有地を取得する場合で適用範囲が異なる。利用に当たっては、各項目で自社の案件が対象となるか、どこまで適用されるかなどについて確認する必要がある。

(坂根良平)

(インド)

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