今後10年間にわたる国家知的財産戦略の意見公募終了

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年09月24日

ブラジル政府は9月13日、今後10年間にわたる国家知的財産戦略に関する意見公募を終了した。

国家知的財産戦略は、創造性と技術革新への投資と知的財産の知識の普及を奨励し、統制された国家知的財産制度を実現することで、効果的にブラジルの競争力強化と経済社会の発展を目指すことを目的としている。

本戦略の策定は、経済省が中心となり、科学・技術・革新・通信省、ブラジル産業開発庁、国家衛生監督庁、ブラジル産業財産庁などの省庁を含めた省庁間グループによって、2019年9月から議論されてきたものだ。

国家知的財産戦略は、以下の7つの戦略から構成されており、それぞれの戦略が構造化計画に細分化され、構造化計画の目的に従って具体的な施策が設定されている。国家知的財産戦略は今後、意見公募内容も踏まえて策定され、法令化される。国家知的財産戦略は、2年ごとに行動計画の見直しを行いながら実施される予定だ。

国家知的財産構造化計画の7つの戦略軸

○戦略1:世界的競争力の強化・発展に向けた知的財産権の利用促進

商品およびサービスへの知的財産価値の向上により、国益にかなった知的財産の創出と戦略的活用を促進する。

○戦略2:知的財産教育の普及

知的財産文化を普及させるための活動を推進し、制度やツールを、技術者やクリエーターに共有し、各分野の専門家を養成する。

○戦略3:知的財産制度の強化と統制

国家知的財産戦略の実行と改革のため、競争力の強化および文化政策の目的との整合性を明確にし、知的財産施策を担当する行政機関の再編および強化のための措置を講じる。

○戦略4:現代に合った法的枠組みの見直し

流動的かつ革新的な世界市場の動向に鑑み、知的財産制度をより透明性の高い、安定した制度として確立させる。知的財産制度の利用を容易にするため既存の法的枠組みの見直しを図り、手続きを簡素化する。

○戦略5:法的安定性の確立

知的財産の適切な保護を促進する必要性を社会に認識させるとともに、知的財産に対する行政上および刑事上の違反行為の防止のため、司法整備や、デジタル化社会にも対応したビジネス環境の法的安定性を強化する。

○戦略6:保有する知的財産の分析と新たな活用方法の研究促進

技術動向や新技術に対する知的財産保護の課題を明らかにし、知的財産で保護された財産の新たな活用方法を見つけだすことを目的として、知的財産権の利用に関するデータベースの作成とその分析を奨励。

○戦略7:グローバル知的財産システムへのブラジルの戦略的介入

国際的な知的財産システムへのブラジルの戦略的な介入を強化し、海外でのブラジル製品と企業の存在感を高め、海外からの投資を誘致するのに有利な国内のビジネス環境を整備する。

(貝沼憲司、広瀬マルチナ)

(ブラジル)

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