豊田通商、自動車関連技術スタートアップのオーロラ・ラボスに投資

(イスラエル)

テルアビブ発

2020年09月29日

9月22日付現地紙で、豊田通商がイスラエルの自動車関連技術スタートアップのオーロラ・ラボスに投資を行ったと報じられた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。オーロラ・ラボスは2016年に設立されたスタートアップで、イスラエル本社のほかにドイツや米国などに拠点を有しており、車載ソフトウエアの遠隔管理・更新技術などを開発・提供している。

同報道によればオーロラ・ラボスは、今回の資金調達で総額2,300万ドルを調達した。サイバーセキュリティ大手のチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズの共同創業者兼個人投資家のマリウス・ナハト氏と、韓国LG電子のCVCであるLGテクノロジー・ベンチャーズがリードした今回の資金調達には、豊田通商のほかにもドイツのポルシェ・オートモービル・ホールディング、国際検査認証会社の米アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)のCVCであるULベンチャーズなどが参加した。

今回の投資実行について、ジェトロが9月24~25日にかけて豊田通商テルアビブ事務所代表の森一憲氏に伺ったところ、「近年、自動運転等の機能向上に向けて車載ソフトウエアが肥大化していること、関連して車載通信機能もますます発達してきていることから、予期せぬソフトバグの発生や、外部からの通信阻害などのリスクが顕在化している。また、従来の数年に一度のモデルチェンジの周期よりも、ユーザーのライフサイクル変化が早くなってきていることから、車両への新機能追加のサイクルも、こうしたニーズに合わせて柔軟に対応する必要が生じている。このような市場動向に鑑み、『新型コロナ禍』で慎重な投資判断が求められる状況ではあるが、オーロラ・ラボスへの投資によって当社事業との相乗効果を生むことが、『新型コロナ禍』での投資リスクを上回ると判断した」と投資判断の背景を語った。また「オーロラ・ラボスが有する技術は、ライフサイクルの早い市場動向への対応として必須となるOTA(Over-The-Air)という無線通信網を活用することで、市場流通後の車両に搭載されたソフトウエアの遠隔更新システムの性能向上に寄与できる。また将来的には、自動車以外のスマートシティやスマートファクトリーなど、高いレベルでの機能更新・リスク回避が求められる分野への応用も考えられる」と同社の技術への期待を語った。

今後も「新型コロナ禍」においても、イスラエルにおける技術探索を通じて、自社の持続的な競争力向上を目指す日本企業の活動が注視される。

(吉田暢)

(イスラエル)

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