ベストスタートアップ100社を発表、首位は皮膚再生企業が受賞

(スイス)

ジュネーブ発

2020年09月29日

スイス最大のスタートアップ表彰イベント「スイス・スタートアップ・アワード」が9月7日に開催され、最も将来性の高いスタートアップ100社が表彰された。本イベントは、スタートアップがスイスで認知されるための登竜門のような存在で、表彰されたスタートアップには国内外の投資家との交流の場が用意される。

今回首位に立ったのは、2017年設立のメドテック、クティス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだ。同社は、やけどなどにより重度の傷を負った患者のための、健康な小片の皮膚から再生した皮膚移植片「denovoSkin」を開発している。研究は、連邦工科大学チューリヒ校(ETH)などの支援を得ながら行われており、EUの研究およびイノベーションの促進プログラムのホライズン2020にも採択、支援を受けている。現在、スイスおよびEUで第2相試験が進行中で、今後の実用化が期待されている。

2位は、2016年設立のドローン開発のウィントラ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだ。ETHのスピンオフである同社は、垂直離着陸が可能なハイブリッドマッピングドローンを開発している。同社によると、このドローンを使うと一度の飛行で従来の固定翼ドローンの2倍の面積のマッピングが可能となる。設立以来、これまでに1,000機を売り上げ、71カ国で使用されている。

写真 ウィントラのドローン(同社提供)

ウィントラのドローン(同社提供)

3位は、2016年設立の動物対象のメドテック、ピアビタ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだ。同社は、馬の胸にセンサーを装着して脈拍や体温などを計測し、ビッグデータ、人工知能(AI)と組み合わせて病気の馬を遠隔モニタリングするためのプラットフォームを開発している。2018年末のリリース以来、米国、欧州などを中心に100以上の同社システムが利用されているという。

100位以内にランクインしたスタートアップを州別にみると、前年と同様、連邦工科大学が所在するチューリヒ州とボー州が最多で、それぞれ50社、25社だった。

今回は、2011年に本イベントが初めて開催されてから10周年に当たる。主催者によると、2011年にイベントが開始されて以来、選出されたスタートアップのうち3社が上場、47社が売却され、合計55億1,867万6,000スイス・フラン(約6,236億円、1スイス・フラン=約113円)が投資されている。

(城倉ふみ)

(スイス)

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