飲食店の営業時間制限を強化、業界は危機感を表明

(チェコ)

プラハ発

2020年09月28日

チェコ保健省は9月23日、新型コロナウイルス感染拡大防止策として新たな緊急措置を公布し、翌24日に発効した。これにより、レストランなどの飲食店において、9月18日に導入された営業禁止の開始時間が午前0時から午後10時に繰り上げられた。営業禁止の終了時間は午前6時で変更はなく、朝は6時から営業を開始できる。

同省はその理由に関して、「アルコール飲料摂取後は、社会的距離の維持、マスク着用などの規則の違反が起こりがちだ。飲食店の夜間閉店時間を早めることにより、アルコール摂取量を抑制することができる。この措置は欧州疾病予防管理センター(ECDC)の推奨に基づくもの」と説明している。

これに対して、チェコ中小企業・個人営業者連盟は、夜間2時間の営業時間短縮により、国内外食業者の大半が1日の売り上げの30%を失い、結果的に事業者の25%が事業終了に追い込まれ、約4万人が失業する可能性がある、との危惧を表明した。同連盟によると、同業界の新型コロナウイルスの影響のよる損失額は現在300億コルナ(約1,350億円、1コルナ=約4.5円)に上っており、今回の制限導入なしでも、この金額は2020年末に450億~500億コルナに達すると見積もられていた。同連盟は保健省に対して、ラストオーダーを午後10時、閉店を午後11時とすることを提案するとともに、レストランやパブにおける感染リスクが高いことを証明するデータの開示を求めている。

さらに、保健省は同日、集会人数に関する制限も強化した。着席形式のイベントに関しては、原則として屋外は最大1,000人、屋内で500人と制限されており、区画(注)で区切ることにより、これを超える収容人数の参加が可能だった。今回はこれが2区画に制限され、屋外の場合は最大2,000人、屋内の場合は最大1,000人と定められた。また、着席形式でない集会に関しては、屋内の場合は10人(2020年9月24日記事参照)に定められていたが、同様に屋外においても、最大50人に制限されることとなった。

今回の措置は14日間有効で、10月7日にその効果の評価結果を基にその後の対策が講じられることになる。

(注)各区間の出入り口は、直接屋外に通じているか、出入り時間を調整することが条件付けられている。

(中川圭子)

(チェコ)

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