イラン・リアル安が下げ止まり

(イラン)

テヘラン発

2020年09月14日

イランの現地通貨イラン・リアルの為替相場(市場レート)は、2019年11月以降、急激に下落し、2020年7月には1ドル=25万リアルを上回ることもあったが、その後、下げ止まりの状況が続いている。公定レートは1ドル=4万2,000リアルのままであることから、公定レートとの乖離は6倍強に至ったことになる(添付資料図1参照)。

2018年に米国による対イラン経済制裁の再開後、リアルの為替相場は急落した。2019年に入って一時持ち直したものの、ガソリン価格値上げに端を発した国内抗議活動が発生した同年11月(2019年11月27日記事参照)から再び下落傾向が続き、記録的なリアル安状態に至った。その後は上記のとおり、2020年7月に最安値を記録して以降、8月は下げ止まり状況が続いている(添付資料図2参照)。

イラン政府は、2018年4月に為替レートの統一を試みるなどして為替相場の安定化を図ったが、結果としては失敗し、市場レートの乱高下が続いている。市場レートと公定レートの乖離幅がさらに拡大してしまった今、今後の金融政策に注視が必要だ。

(中村志信)

(イラン)

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