経済発展省、2020年の経済成長率をマイナス3.9%に上方修正

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2020年09月25日

ロシア経済発展省は9月16日、2020年の実質GDP成長率予測をマイナス3.9%と発表した。原油価格の上昇や消費の回復などを背景に、前回予測(2020年6月)から0.9ポイント引き上げた。

経済発展省が今回発表したのは2020~2023年の中期経済予測で、財務省が策定する2021~2023年の3カ年予算のベースとなる基本経済指標に用いられるもの(添付資料表参照)。マクシム・レシェトニコフ経済発展相は、原油価格の上昇と、連邦政府や中央銀行が実施している大規模な支援措置により、前回予測時よりも経済は上向いていると指摘。2021年については、第3四半期に新型コロナウイルス禍前の水準まで戻り、通年ではプラス3.3%に転じると述べた。一方、外需が鍵となるとし、世界経済動向やOPECプラスの行方に左右されるとした。

消費活動は、短期的には国民向けの支援措置が奏功し、前回予測時よりも落ち込みを小さくしている。2021年の小売商品売上高を前年比5.1%増とみているが、国民所得や賃金の伸び次第だと述べた。

固定資本投資も、前年比6.6%減と前回予測(10.4%減)を上方修正した。2021年は、企業の投資計画の見直しや連邦・地方予算支出の縮小により回復は軟調となるが、その後は、投資サイクルが再開することで5%を超える伸びが期待されている。対ドル・ルーブル為替レートは、主要金利引き下げをはじめとする金融政策緩和や投資家によるリスク評価の悪化を背景に、2023年までルーブル安で推移するが、非資源分野の輸出拡大には好条件になると述べた。

英米大手格付け会社フィッチ・レーティングも、9月7日に2020年の経済成長率の見直しを行い、マイナス5.8%(2020年6月)からマイナス4.9%に上方修正した。原油価格の上昇や消費活動の回復、輸入の減少に加え、政府による国民への支援措置が落ち込みの緩和に寄与した、と評価している。ロシアの政府系金融機関VEB.RUは9月3日にマイナス4.0%と発表。アンドレイ・クレパチ首席エコノミストは「今後の鍵となるのは実質可処分所得の伸びで、現在の経済発展モデルを変えなければ、2024年になってもせいぜい2013年の水準までにしか回復しない」との見方を示した(「タス通信」8月25日)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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