ルーマニアの7月の失業率は5.4%、過去3年で最悪に

(ルーマニア)

ブカレスト発

2020年09月16日

ルーマニア統計局の9月1日の発表によると、7月の失業率(季節調整済み、速報値)は前月から0.1ポイント上昇して5.4%だった。この3年で最も高い水準となった。労働人口15~74歳の失業者数は、前月より1万457人増加して48万4,156人となった(添付資料図1参照)。男女別でみると、男性の失業率は6.1%、女性は4.5%だった。

ルーマニアの失業率は2020年1月、過去最低レベルの3.7%を記録したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、2月以降は上昇し続けている(添付資料図2参照)。特に、3月16日の非常事態宣言以降、営業の停止や制限が課せられた飲食・宿泊業、娯楽産業、運輸業などの深刻な売り上げ減少が、就業者を大きく減らす要因となったとみられる。

年代別にみると、若年層(15~24歳)の失業率は、以前から17%を超える高い状況が続いていたが、非常事態宣言が出された4月以降、6月に至るまで16.9%と横ばいが続く。一方、25~74歳の7月の失業率は4.3%で、前年同月から1.3ポイント上昇しており、中高年の失業者の増加傾向が続いている。ルーマニアの通信社「Agerpres」は8月10日、求人情報サイト「イージョブズ・ルーマニア」の7月の求職登録者数は前年同月比50%増の130万人超で、特に18~24歳の若年層の求人が増えている、と伝えている。

労働省は雇用対策として、6月1日以降、以下の対策を講じて、失業率の改善を目指している。

  1. 「技術的失業制度」〔注〕から従業員を復職させた雇用主に対し、賃金コストの41.5%を3カ月間支給
  2. 非常事態宣言期間または警戒期間中に解雇した50歳以上あるいは16~29歳の従業員を再雇用した雇用主に対し、12カ月間を限度に、対象となる従業員ごとに毎月2,500レイ(約515ユーロ)を支給

国家予測委員会(CNP)の8月予測では、ルーマニアの2020年の年間平均失業率は5.1%を見込んでいる。

〔注〕雇用主が一時的に事業活動の停止・縮小をする際に、従業員へ支払う制度。従業員に対し、国が定めるグロス平均給与(5,429レイ)の最大75%を技術的失業手当として支給。所得税の課税対象。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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