新型コロナ感染拡大後の初の完全来訪型見本市が開幕

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2020年09月09日

新型コロナウイルス感染拡大後、来場者を迎える従来型の方式のみで開催される国際見本市が9月4日、ドイツでは初めてデュッセルドルフ市で開幕した。欧州最大のキャンピングカーの見本市「Caravan Salon」で、前年は出展者645社、会期中27万人超が来場した。新型コロナウイルス拡大の影響で、特に欧州域外からのドイツへの入国制限が続く中、出展者は300社余りとなった。

9月4日の開幕に合わせて行われたプレス発表において、デュッセルドルフのトーマス・ガイゼル市長は「Caravan Salonが開催に至ったことは、見本市主催会社だけでなく、見本市に関係する観光業界を含めて大きなシグナルとなる」と、再開による経済的な意義を強調した。他方で、「新型コロナウイルスは消滅したわけではなく、コントロール不能なかたちでの感染が拡大することになってはならない。来場者を含めて安全が確保されるよう、細心の注意を払い、衛生管理基準を定め、主催者であるメッセ・デュッセルドルフが準備を進めた結果、開催できることになった」と、新型コロナウイルス感染防止に配慮しながら開催に至った経緯も説明した。

1日の来場者数の上限を2万人に設定し、来場者は事前にオンラインショップでチケットを購入する必要がある。会場ではマスク着用、1.5メートル以上のソーシャルディスタンスを確保する必要があり、主催者はカメラで密になっているところがないか確認を行っている。このほか、定期的な換気も行われている。

写真 マスク着用で入場する来場者(主催者提供)

マスク着用で入場する来場者(主催者提供)

本見本市はBtoBとBtoCの両方を目的にしており、例年、週末には多くの一般客が来場する。筆者が9月5日に会場を訪れたところ、前年に比べて明らかに来場者数は少なかったが、各出展ブースでは、来場者と商談をする光景が随所にみられ、商談の順番を待つ人の姿が見られるブースもあった。

ドイツキャンピングカー協会によれば、「コロナ禍」でドイツ国外への旅行が難しくなったこともあり、2020年7月のキャンピングカーの新規登録数は前年比でほぼ倍増しており、こうした需要も背景にあるものとみられる。会場内のレストランは多くが営業せず、会場内でのセミナーは席の間隔が十分に取られ、ブースの受付や個別商談テーブルにはアクリル板が設置されていたが、商談が困難になる状況や混乱は見られなかった。同見本市は9月13日まで開催される。

写真 商談の様子。商談テーブルにアクリル板が立てられている(ジェトロ撮影)

商談の様子。商談テーブルにアクリル板が立てられている(ジェトロ撮影)

(木場亮)

(ドイツ)

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