ロシア統一地方選、現職知事が全勝

(ロシア)

モスクワ発

2020年09月18日

ロシアで9月13日に、統一地方選挙が実施された。18の連邦構成体で行われた知事選では、全て現職(代行を含む)が勝利した。昨今のプーチン政権に対する支持率の低下や反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌィ氏の毒殺未遂疑惑、隣国ベラルーシでの大統領退陣を求める抗議デモなどによる選挙結果への影響が注目されたが、波乱は見られなかった。

知事選候補者の所属の内訳は、与党「統一ロシア」が12人、自己推薦が5人、1人(スモレンスク州)は自民党の候補者だった。タタルスタン共和国ではルスタム・ミンニハノフ大統領(「統一ロシア」)が83.3%の得票を獲得して3期目となる当選を果たした。近年はIT産業振興に力を入れ、首府のカザンをロシア有数のIT産業・スタートアップ拠点に発展させた。日本との関わりでは石川県と交流を図っており、2018年10月にはミンニハノフ大統領が同県を訪問している。

イルクーツク州ではイーゴリ・コブゼフ氏(自己推薦)が当選した(得票率60.8%)。同州では2015年10月の選挙で野党共産党のセルゲイ・レフチェンコ氏が「統一ロシア」の候補者を破り知事を務めていたが、2019年夏に起きた大規模な洪水災害の対応への批判を受け12月に辞任。その後、プーチン大統領の指名によりコブゼフ氏が知事代行を務めていた。次点は共産党のミハイル・シャポフ氏で得票率は25.5%だった。

そのほか、連邦構成体議会選挙(通常11カ所、補欠27カ所)、連邦構成体首府の市議会選挙(22カ所)、連邦下院補欠選挙(4カ所)など全国9,000以上の自治体で選挙が実施された。地方の議会選においてもほとんどの場所で「統一ロシア」が過半数を獲得したが、トムスク、ノボシビルスク、タンボフの市議会選では過半数を割り込んだ。トムスクとノボシビルスクではナワリヌィ氏の陣営が支持する候補者が当選した。

今回の統一地方選では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、9月11日から期日前投票を実施した。また、クルスク州とヤロスラブリ州の州議会選挙において電子投票が導入されたほか、選挙日に一時的にモスクワにいる選挙対象地域居住者向けにデジタル投票所が設置された。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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