国民投票で国会議員数削減へ、州選挙では左右勢力が拮抗も与党・民主党が健闘

(イタリア)

ミラノ発

2020年09月25日

イタリアでは9月20日~21日に、国会議員数の削減を問う国民投票を実施した。削減への賛成票が69.64%を占め、反対の30.36%を2倍超も上回る結果となった。これにより、下院の議席定数は630席から400席、上院は315席から200席に減少し、全体で約4割近く削減されることにとなる。当初は2020年3月に国民投票が行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で9月に延期されていた。

議席定数の削減により、費用削減効果が期待される。地元メディアの「ラ・スタンパ」紙(9月21日)は、与党の一翼を担う第3極の五つ星運動(M5S)に属し、本政策を推進していたルイージ・ディ・マイオ外相が今回の結果を歓迎し、「歴史的な結果だ。これから国会議員の給与を平準化しよう」とコメントしたことを伝えた。

州選挙も同時に実施

国民投票とあわせ、7つの州では州知事・州議会議員の選挙も行われた。州知事については、3つの州で右派勢力が支持する候補者が当選、左派勢力は3州で勝利と拮抗(きっこう)した。地域別にみると、北部2州(ベネト、リグーリア)および中部マルケ州で右派、中部トスカーナ州および南部2州(カンパーニア、プーリャ)では左派が制した(注)(選挙結果の詳細は別添資料参照)。

イタリアの全20州のうち、GDPでは3番目の規模を持つベネト州では、右派勢力が支持するルーカ・ザーイア氏が約8割の得票率で再選を果たした。また、州別GDPで6番目に位置するトスカーナ州では、左派勢力が支持するエウジェーニオ・ジャーニ氏が当選した。

地元メディア「コリエーレ・デラ・セーラ」紙(9月22日)は、今回の州選挙の結果を踏まえ、現与党の民主党(PD、中道左派)が健闘し力を保持したこと、続く右派の同盟(第1次コンテ内閣で与党)が失速しつつあること、また第3極のM5Sは凋落(ちょうらく)した、とするシンクタンクの見方を伝えた。

元来、政治的立場の異なるPDとM5Sは、2019年に連立政権が成立した段階からその歩み寄りに注目が集まっていたが、結果的に、2党は今回多くの州で統一候補の擁立には至らなかった。同紙は、PDの勝因の1つはM5Sの支持者から票を引きつけたため、とする見方も伝えている。第2次コンテ内閣を組成する2大政党の今後の動向が引き続き注視される。

(注)バッレ・ダオスタ特別自治州では、州議会議員選挙のみ実施。

(山崎杏奈)

(イタリア)

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