8月の自動車生産、コロナ禍前の2月の水準に回復

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年09月09日

ブラジル自動車工業会(ANFAVEA)は9月4日、8月の自動車(乗用車、小型商用車、トラック・バスの合計)生産販売輸出統計を発表した。

これによると、8月の生産台数は前月比23.6%増の21万900台、国内販売台数は同5.1%増の18万3,400台だったが、輸出は同3.4%減の2万8,100台となった。ANFAVEAは「8月の自動車生産販売は緩やか」と評価している。また、前年同月比では生産が21.8%減、国内販売は同24.5%減、輸出は同23.4%減と、いまだ大幅に低い数値が出ている。

新型コロナウイルス感染拡大前の2月と比較すると、生産が3.4%増、国内販売が9.0%減、輸出が26.3%減となり、生産は感染拡大前の水準まで回復した。国内販売と輸出は同水準に達しておらず、結果的に8月末の在庫(23日分)は14万200台で、前月末比1.4%積み上がった。

1~8月の累計では、生産が前年同期比44.8%減の111万1,000台、国内販売が同35%減の116万7,000台、輸出が同41.3%減の17万6,700台となった。ANFAVEAは7月時点で、2020年の生産予測を前年比45%減の163万台、国内販売を同40%減の167万5,000台、輸出を同53%減の20万台と予想し、2019年レベルに回復するには2025年までかかると予想していた。当時、この厳しい予測に日系自動車サプライヤーの間では衝撃が走った。今回の1~8月累計台数で既に生産・国内販売・輸出とも7月時点予測の減少幅を下回ったことを受け、ANFAVEAは2020年生産予測を200万台と19.4%上方修正し、「2019年の生産量まで回復するには2024年までかかる」と当初の2025年より1年早まると予測している。

ルイス・カルロス・モラエス会長は、2020年の生産予測は上方修正にもかかわらず、「1~8月累計台数は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響がなければ、生産台数は4カ月弱、国内販売台数は3カ月で達成できる量にすぎない」とコメントしており、依然としてブラジル自動車業界は厳しい状況にあることに変わりはないことを強調している。

(大久保敦)

(ブラジル)

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