2020年第2四半期の実質GDP成長率はマイナス9.9%

(トルコ)

イスタンブール発

2020年09月07日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(8月31日)によると、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は、市場予測(11%超のマイナス)よりは上回ったものの、前年同期比マイナス9.9%と急激な冷え込みを示した。また、季節・日数調整後の成長率(前期比、年率換算)ではマイナス11.0%と、1998年の統計発表以来、最も大きなマイナスになった。

第2四半期の成長率を支出項目別にみると、GDPの最大項目である家計最終消費支出は、新型コロナウイルス拡大の影響を受けた急激な景気減速により、前年同期比で8.6%減となった。他方、政府最終消費支出の減少幅は0.8%にとどまった(添付資料表1参照)。

民間投資を含む総固定資本形成は、国営銀行が主導したクレジット・インパルス(GDPに対する新規与信の伸び率)の強さを背景に、機械の設備投資が伸びたことから、減少幅が市場予測を下回る前年同期比6.1%減となった。建設も冷え込みが続いている。輸出は35.3%減、輸入は6.3%減で、外需(ネット輸出)も著しい冷え込みをみせている。

生産部門別にみると、サービス業が前年同期比25.0%減と、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も受けた。また、好況時には経済の牽引力となってきた建設も、2.7%減と低迷が続いている。製造業も18.4%減となり、生産活動の衰えを反映している。他方、政府による信用拡大政策の影響で、金融・保険業は27.8%増となった。また、情報通信業は11.0%増と好調が続いている(添付資料表2参照)。

各部門で大きなマイナスとなったが、8月31日付国営アナドル通信外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、アルバイラク国庫・財務相は自身のツイッターで、「壊滅的なパンデミックが第2四半期の世界経済を停止させたが、トルコのGDPは悲観的な予測に対して、世界の国々よりも良い結果を示した」と、強気な姿勢を示した。トルコ経済の基盤は「底堅く、ダイナミックで、強固だ」とし、さらに「2021年にV字回復を遂げるだろう」とも述べた。同相は、2020年通年のトルコ経済成長率予測をマイナス1.0~2.0%とし、IMF(マイナス5.0%)や格付け会社フィッチ(マイナス3.9%)と比べて楽観的にみている。

(中島敏博)

(トルコ)

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