2020年第2四半期の実質GDP成長率は前期比マイナス13.8%

(フランス)

パリ発

2020年08月03日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)の7月30日発表の統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前期比でマイナス13.8%となった(添付資料表参照)。第1四半期のマイナス5.9%からさらに落ち込んだ。新型コロナウイルス感染症の拡大抑制のため、3月中旬から5月上旬まで続いた経済活動の停止が響いた。生産縮小の動きをセクター別にみると、建設業が前期比24.1%減(前期:12.8%減)と顕著で、これに製造業が19.9%減(6.7%減)、民間サービス業が13.4%減(5.0%減)と続いた。

需要項目別にみると、民間最終消費支出は前期比11.0%減(前期:5.8%減)、総固定資本形成は17.8%減(10.3%減)とともに前期から後退し、在庫の動きを除いた内需はGDPを12ポイント押し下げた。民間最終消費支出の内訳をみると、移動制限を受け、交通、外食・宿泊などサービス支出が15.3%減と急減した。財への支出では、ガソリンなどのエネルギー支出が11.1%減(3.7%減)と落ち込む一方、食品支出の縮小は0.5%減と小幅にとどまった。

輸出は25.5%減(前期:6.1%減)、輸入は17.3%減(5.5%減)で、双方向で大幅減となった。輸出から輸入を引いた純輸出もGDPを2.3ポイント押し下げた。一方、移動制限を受けた需要急減に伴い、工業製品を中心に在庫が増加。結果として、在庫がGDPを0.6ポイント押し上げた。

INSEEは、7月8日に発表した景気報告で2020年第3四半期の実質GDP成長率を前期比19%と予測したが、7月20日以降は新型コロナウイルス感染症の1日の感染者数が1,000人を超えるなど感染再拡大の動きが明らかになっており、景気回復に向けた動きは予断を許さない状況だ。

また、INSEEが7月29日に発表した統計によると、家計景況感総合指数は7月に94となり、前月から2ポイント低下した。このうち、貯蓄機会に関する判断指数は23と前月の14ポイントから大幅に上昇した。先行き不安から貯蓄を志向する人が増え、景気を牽引する個人消費の回復が遅れる、と懸念する声も出ている。

(山崎あき)

(フランス)

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