フリーランド副首相、財務相を兼任へ

(カナダ)

トロント発

2020年08月20日

ジャスティン・トルドー首相は8月18日、ウィリアム・モルノー財務相の辞任に伴い、後任の財務相にクリスティア・フリーランド副首相を起用する人事を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。連邦財務相への女性就任は初となる。フリーランド氏は副首相と財務相を兼任し、フリーランド氏が所掌していた政府間関係相のポストはドミニク・ルブラン枢密院議長が兼任する。

モルノー前財務相は、17日の臨時記者会見で財務相および議員職の辞任を発表していた。財政政策についてトルドー首相との意見対立が取り沙汰されていた(CBCニュース8月16日)ほか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴って設置された学生向け就職活動支援制度の運営に起用された慈善団体との関係を巡り、野党からの辞任要求が高まっていた(同8月17日)。

フリーランド氏は、2013年にジャーナリストから政界へ進出し連続当選3回。2期目の2015年10月にトルドー政権で国際貿易相として初入閣後、EUとの包括的経済貿易協定(CETA)をまとめたほか、2017年1月には外相に任命され、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を担当した。2019年10月の総選挙後は副首相兼政府関係相に任命され、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府対応策について協議するために2020年3月に発足したCOVID-19対策内閣委員会では、議長として各州政府とのパイプ役を担っている。

フリーランド氏の財務相起用について、カナダ商工会議所会頭のペリン・ビーティー氏は、「フリーランド氏は、複雑な政策課題に確実に対処してきた実績があり、新しいアイディアを受け入れる創造的な思想家だ。こうした資質は新しい職務において重要な資産になる」と期待感を示したうえで、財務相の交代が国の記録的な経済停滞のさなかに起きており、向こう数週間にわたって下される決定が今後数年間の国の経済の方向性を位置づけるだろうとコメントした。

(飯田洋子)

(カナダ)

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