UAEとイスラエルの国交正常化にサウジ政府の公式見解発表はなし

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年08月17日

8月13日にアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルが完全な国交正常化に合意した(2020年8月14日記事参照)ことについて、サウジアラビア政府からの公式の発表やコメントは、16日時点では出されていない。

政府の公式な見解ではないが、現地英字紙「アラブニュース」は13日付で、国交正常化合意の事実を伝えるとともに、各国(米国、英国、フランス、オマーン、エジプト、バーレーン、イスラエル、ヨルダン)や国連事務総長などによって出された、今回の合意を評価するコメントを順に掲載した。同紙はまた14日付で、パレスチナ自治政府のアッバス議長ほか、自治政府高官の落胆のコメントを掲載しつつ、和平プロセスの形骸化や弱体化への懸念がパレスチナに広がっていると伝えている。

ソーシャルメディアでも、合意についてサウジアラビア国内から公に発信されたコメントは見られていない。各紙のオピニオン欄にも、サウジアラビア人ジャーナリストの投稿はなく、UAEを含む外国人ジャーナリストによる評価の記事が並ぶのみとなっている。

ロンドンに拠点を置く「アッシャルク・アルアウサト」紙の16日付のオピニオン欄では、パレスチナ和平交渉自体が長期間停滞・頓挫している事実や、パレスチナを支援してきたアラブ諸国の若い世代にもかつての熱意が失われてきている状況、アラブ諸国も情勢変化を経て、国益と国民の利益を第一に考えるという現代的な状況などが指摘されていた。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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