UAEとイスラエルの国交正常化、エジプトは歓迎

(エジプト、アラブ首長国連邦、イスラエル)

カイロ発

2020年08月18日

エジプトのエルシーシ大統領は、8月13日の会見における声明で、アラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの間で合意した国交正常化宣言に対して、「中東に平和をもたらす」というコメントとともに歓迎の意を示した。また、自身のソーシャルメディアを通じて、「パレスチナ領土の課題においても解決を促すきっかけとなる宣言で、米国、UAE、イスラエルの間の3者の共同声明に大きな関心と感謝を示したい」と述べている。その後、エジプト政府の公式見解は出ていない。

エジプトは、アラブ地域の大国としての地位を維持しており、UAEとの関係は政治、ビジネス両面において良好だ。UAEからの対エジプト投資は、不動産・金融面を中心にここ数年、上位に位置している。イスラエルとの交流については、2019年に平和条約締結40周年を迎えており、近年は天然ガスの開発案件で強い関係が築かれようとしているほか、旅行業界によると、この1~2年は80万人近いイスラエル人がエジプトを訪問しているという。

エジプトには、カイロやアレキサンドリア、スエズなど17カ所に、米国がイスラエルとその近隣諸国との間の経済的つながりを築くために設立した「Qualifying Industrial Zones(QIZs:資格産業地域)」という工業団地がある。2004年12月に米国、イスラエル、エジプトの3者間の協定が締結され、翌年2月に発効して以来、エジプトとイスラエルが共同で製造した製品の米国への免税輸入が許可されており、これを利用するエジプト企業や外資系企業は繊維、家具、食品加工など多分野にわたる。

今回の国交正常化宣言においては、エジプト国内での混乱はなく、ビジネスパーソンは引き続き両国との関係強化に前向きだ。

(常味高志)

(エジプト、アラブ首長国連邦、イスラエル)

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