米シカゴ市で大規模な略奪発生、銃撃事件きっかけに

(米国)

シカゴ発

2020年08月11日

米国イリノイ州シカゴ市のダウンタウンで8月10日未明、大規模な略奪事案が発生した。目抜き通りのミシガン通りにある高級服飾店や百貨店、家電販売店などへの略奪や破壊行為に加え、ダウンタウン北方(ノースストリート)のアップルストアやベストバイ(家電量販店)、ウォルグリーン(ドラッグストア)などでも大規模な略奪があり、既に100人以上が逮捕され、13人以上の警官が負傷したと報道されている。

シカゴ市の警察当局は略奪の引き金として、犯罪が多発している市南部のエリアで9日午後に銃を所持した男性が警官に発砲し、警官がこれに応戦して発砲した事案が誤った情報とともに広まったことを挙げている。

今回の略奪事案を受けて、シカゴ市のロリ・ライトフット市長は10日朝、緊急の記者会見を開き、「今回の事案は悲惨な犯罪であり、どのような理由があろうと許されるものではない」と強く非難した。

治安悪化めぐり政治的な対立に

「シカゴ・トリビューン」紙によると、シカゴ市における2020年の発砲事件の犠牲者数は7月29日時点で2,249人に上り、既に2019年全体の1,554人を上回っている。同市では6月にも全米の各都市と同様に、警官によるジョージ・フロイド氏の暴行死事件を契機に、大規模な略奪事案が発生している。

6月にはトランプ大統領が同市の治安悪化は州や市政の失敗だと非難し、国家治安部隊の派遣を主張した。これに対し、民主党所属のライトフット市長はいったん拒否する(後に受け入れ表明)など、治安の悪化が政治的な対立軸にもなっている。

(藤本富士王)

(米国)

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