7月の生産活動、新型コロナ感染拡大前の水準に近づく

(ブラジル)

サンパウロ発

2020年08月27日

全国工業連盟(CNI)は8月20日、国内の鉱業・製造業における7月の設備稼働率が67%と、6月の62%から改善し、ブラジルにおける新型コロナウイルス感染拡大前の2020年2月の68%の水準よりわずかに1ポイント低い水準まで回復したことを発表した。設備稼働率は5月以降、3カ月連続で改善した。報告書は、同連盟のウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から入手できる。CNIは今回、1,890社を対象に8月3~13日に調査を実施した。

稼働状況のDI値(注1)をみると、鉱業・製造業全体では44.1ポイントまで上昇した。50ポイントを下回っていることから、依然として稼働率が低いことが分かるが、同水準は2020年2月の44.6ポイントに迫る水準まで回復している。

雇用状況のDI値(注2)では、6月の46.9ポイントから、7月は50.9ポイントとなり、2020年2月の50.4ポイント以来初めて50ポイントを超えた。同指数は、ブラジル国内で新型コロナ感染拡大への対策(外出自粛措置や企業活動制限)が本格化した4月は、38.2ポイントまで低下していた。

生産状況のDI値(注2)は、6月の52.8ポイントから、7月は59.4ポイントに急増した。7月は2010年3月以来の高水準だが、CNIは「新型コロナウイルス感染拡大による生産低迷が6月まで続き、6月の水準が低かった点を考慮する必要がある」と説明している。生産が60ポイントを超えた部門は、ゴム、プラスチック、繊維、情報電子機器、自動車、機械、電機機器・資財、紙パルプ、家具、冶金(やきん)、化学となった。一方、50ポイントを下回った部門は印刷・複製、衣料品、機械設備の維持・修理となった。

在庫状況のDI値(注3)は45.5ポイントで、前月の45.0ポイントを上回った。生産された製品が出荷されずに企業内に「在庫」として残っている、と回答した企業の割合が前月比で増加している。

7月の本調査結果をみると、回復傾向は全部門にわたっている。同調査報告による指数などの回復は、当地マスコミにも大きく取り上げられた。ブラジルCNNは回復要因について、(1)製造部門は商業サービスと比べ、政府の新型コロナウイルス対策緊急融資にアクセスしやすかったこと、(2)現地通貨レアルの対ドルレートが低水準で推移し、輸出が好調なこと、(3)6月以降の経済活動再開により、国民所得が回復してきたこと、を挙げている。

(注1)当該月の通常の稼働率と比較して、「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いた数値。

(注2)前月と比較して「増加」と答えた企業の割合から、前月と比較して「減少」と答えた企業の割合を引いた数値。

(注3)在庫水準が、計画時よりも「多い」と答えた企業の割合から、「少ない」と答えた企業の割合を引いた数値。

(大久保敦)

(ブラジル)

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