サウジアラビアはアラブ和平構想順守の立場を表明

(サウジアラビア)

リヤド発

2020年08月21日

ドイツを訪問しているサウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相は8月19日、ドイツのハイコ・マース外相との共同記者会見の1つの話題として、13日に発表されたアラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルの国交正常化合意(2020年8月14日記事参照)について言及した。それによると、「イスラエルの一方的な併合政策や入植地建設は違法で和平問題解決に有害だ」としつつ、「サウジアラビアはイスラエルとの国交正常化において、アラブ和平構想を順守する」立場を示した。

サウジアラビアは、2002年にアブドゥッラー前国王のイニシアチブにより、イスラエルが1967年から占領しているパレスチナの全占領地から撤退すること、ヨルダン川西岸・ガザ地区にパレスチナ国家を樹立することを条件に、全アラブ国家によるイスラエルとの関係正常化を盛り込んだ、アラブ和平構想を提案している。今回のファイサル外相の発言は、サウジアラビアがこの立場を踏襲することをあらためて明らかにしたものとなったが、同外相は同時に、「2002年の同和平構想の提案時には、条件が整えば、結果としてサウジアラビアを含むアラブ諸国とイスラエルの関係正常化を想像していた」としながらも、「和平の推進や併合の恐怖の抑止につながるあらゆる努力は評価できる」ともコメントしており、パレスチナの感情およびUAEによる国交正常化の動きの双方に配慮した発言だったとみられる。サウジ政府高官が本件(パレスチナ)について言及するのは、今回の国交正常化合意発表後、初めてとなる。

(柴田美穂)

(サウジアラビア)

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