2020年以降の経済予測を下方修正

(フィリピン)

マニラ発

2020年08月14日

経済閣僚で構成される予算調整委員会(DBCC)は8月6日、フィリピンの経済成長見通しについて発表し、2020年をマイナス5.5%に、2021~2022年をプラス6.5~7.5%に下方修正した。従来(5月13日)は、それぞれマイナス2.0~マイナス3.4%、プラス8~9%としていた。DBCCは下方修正の理由について、「コロナ禍」で観光、貿易、海外就労者からの本国送金などが減退したことを挙げた。

DBCCは、主要なマクロ経済指標についても見通しを発表した。まず、インフレ率について、2020年を1.75~2.75%、2021~2022年を2~4%とし、政府が定めるターゲットレンジ(2~4%)以内に収まると予測した。次に、原油価格(ドバイ原油先物、1バレル当たり)について、2020年を35~45ドルとし、従来の23~39ドルから引き上げる一方、2021~2022年に関しては、35~50ドルのまま据え置いた。さらに、為替相場について、現在の1ドル=49ペソ(約103円、1ペソ=約2.1円)台から、2020年内に50~52ペソ、2021~2022年に50~54ペソになると予測した。また、輸出と輸入については、それぞれ2020年に前年比16%減、18%減を見込む一方、2021~2022年は5%増、8%増とした。なお、海外就労者からの本国送金は、2020年に前年比5%減、2021~2022年に4%増とみている。

フィッチ、2020年の成長率をマイナス2%からマイナス9.1%に引き下げ

政府の発表翌日の8月7日、米国の有力格付け会社フィッチ・レーティングは、グループの調査会社を通じて、2020年のフィリピン経済の見通しについて発表し、従来のマイナス2%から大きく引き下げ、マイナス9.1%とした。さらに、マニラ首都圏近隣地域の厳格なコミュニティ隔離措置が12月まで継続される場合は、マイナス10.8%まで低下するとした。コミュニティ隔離措置はいったん緩和されていたが、感染者の増加を受けて、8月4日以降、再び厳格化されている。同社は、2021年の成長見通しについても、従来予測を0.3ポイント引き下げ、6.2%とした。なお、同社は10日、フィリピンの格付けを現在の「BBB、安定的」から引き下げる可能性があることを明らかにした。

(石原孝志)

(フィリピン)

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