東北3省の上半期の成長率、吉林省のみ全国平均を上回る

(中国)

大連発

2020年08月12日

中国の遼寧省(7月22日)、吉林省(7月17日)、黒龍江省(7月29日)の東北3省が発表した統計によると、2020年上半期(1~6月)の域内総生産(GRP)は、遼寧省が前年同期比3.9%減の1兆1,132億5,000万元(約16兆6,987億5,000万円、1元=約15円)、吉林省が0.4%減の5,441億9,200万元、黒龍江省が4.9%減の5,250億6,000万元となった(添付資料表参照)。新型コロナウイルスの影響を受け、遼寧省と黒龍江省は全国平均(1.6%減)を下回り、吉林省のみ全国平均を上回る成長率となった。

一定規模以上の企業(注)による工業付加価値額も、吉林省(3.3%増)のみ全国平均(1.3%減)を上回り、遼寧省(2.3%減)と黒龍江省(4.0%減)は全国平均を下回った。産業別にみると、遼寧省では、重点産業である石油化学工業が8.5%増となり、設備製造業(8.5%減)、冶金(やきん)(3.1%減)、農産品加工(2.1%減)は減少したが、それぞれの下げ幅は第1四半期(1~3月)より6.2ポイント、3.2ポイント、6.7ポイント縮小した。吉林省では、重点産業の自動車製造業が9.2%増となった。黒龍江省では、自動車製造業(31.9%増)、汎用設備製造業(22.5%増)と電気機械・器材製造業(7.0%増)などの設備製造業がプラス成長へと転じた。

また、固定資産投資総額は、遼寧省(2.7%減)、吉林省(7.8%増)、黒龍江省(0.3%増)と3省全てにおいて全国平均(3.1%減)を上回った。貿易額をみると、遼寧省の原油輸入が58.1%増の大幅増となった一方で、鋼材、ハイテク製品、機電製品がそれぞれ36.1%減、18.8%減、15.5%減と減少した。

東北3省の各政府は上半期の経済動向について、「全体的に回復傾向にある」(遼寧省)、「経済は安定的に回復しており、多くの指標の伸び率が全国平均を上回っている」(吉林省)、「全体的に好転している」(黒龍江省)と分析している。

(注)その年の主な業務による売上高が2,000万元以上の工業企業。

(李穎)

(中国)

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