オーストラリア政府、外資買収法改正草案を公表

(オーストラリア)

シドニー発

2020年08月06日

オーストラリア連邦政府は7月31日、外資による取得および買収に関する法律(Foreign Acquisitions and Takeovers Act 1975)の改正草案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表し、パブリックコメントの受付を開始した。今回の改正案は、2020年6月5日に発表された改革の方針に基づくもので、国家安全保障の観点から外国投資に対する審査を強化することを目的としている(2020年6月12日記事参照)。

今回の改革によって、投資額の大小に関わらず、国家安全保障の観点から重要とされる土地や事業に対する外国投資は、政府による審査の対象となる。また、外国投資に対する監視・調査体制や罰則も強化する。

公表された草案では、審査の対象となる「国家安全保障に関する事業(national security business)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の定義が示された。具体的には、重要インフラ安全保障法(Security of Critical Infrastructure Act 2018)で定義される水、電気、港、ガスなどの資産、電気通信法(Telecommunications Act 1997)で定義される通信事業のほか、防衛装備品などの製造・供給・開発に関する事業、防衛技術や防衛関連情報に関する事業などが挙げられている。

ジョシュ・フライデンバーグ財務相は、「オーストラリアは外国投資を引き続き歓迎するとともに、今回の法改正によって、新たなリスクや世界の動向に対処するよう外国投資制度を近代化する」と説明し、「オーストラリアの外資審査は、オープンで透明性のある、差別のない枠組みであり、案件はケースバイケースで評価される」ことを強調した。

パブリックコメントは、2020年8月31日まで、eメール(FIRBStakeholders@treasury.gov.au外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)による提出を受け付けている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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