国連安保理、対イラン武器禁輸措置の延長決議案を否決

(イラン)

テヘラン発

2020年08月20日

米国が国連安全保障理事会に提出したイランに対する武器禁輸措置の延長に関する決議案が8月14日に採決されたが、賛成は2票(米国、ドミニカ共和国)のみで、反対2票(中国、ロシア)、棄権11票で、可決に必要な9票に至らず否決された。

イランでは、ローハニ大統領が15日に「米国がイランに反対する決議案を提出し、1票しか賛成(同調)を得られなかったのは、歴史上初めてだ」と発言したほか、ザリーフ外相も「米国の反イラン決議の失敗は国際関係の変化の結果」と評価したと報じられた〔8月17日付イスラム共和国通信(IRNA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

一方、米国のトランプ大統領は15日、JCPOA(包括的共同行動計画)で定められている紛争解決メカニズムの適用、いわゆる「スナップバック」を発動することを明らかにした。イランはもちろん、EUや中国、ロシアなどはこれに反発しており、実際に発動に至るかは不透明だが、米国大統領選挙も見据えた外交的駆け引きが当面続くことが予想される。

(中村志信)

(イラン)

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