新駅が開業、進むカイロ地下鉄の新路線開発

(エジプト)

カイロ発

2020年08月24日

現地報道などによれば、エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、8月16日にカイロ市内で行われたカイロ地下鉄3号線第4区間6駅の開業セレモニーに出席した。同区間は、カイロ市内とカイロ国際空港を結ぶ重要な路線で、全10駅のうち3駅は既に開業しているが、カイロ国際空港駅と他の6駅が工事中だった。今回開業した6駅については、フランス政府、欧州投資銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)などが総額約18億エジプト・ポンド(約118億8,000万円、1エジプト・ポンド=約6.6円)を拠出している。残るのはカイロ国際空港駅の開業となる。

現在、運行されているカイロ地下鉄1、2号線は、エジプト政府予算のほかEBRDの資金が50%で、車両は日本企業連合3社が受注した。計画中の4号線は、2012年に日本政府の借款契約が締結済みで、カイロ中心部からピラミッド地区を結ぶ16駅(約17キロ)の建設が予定されている。1、2号線も区間延長が行われている。

エジプト政府は、今回のセレモニーに合わせて、8月24日から1、2号線の利用料金を値上げする。地下鉄の料金体系は3つのカテゴリーに分かれており、近距離で5エジプト・ポンド(改定前は3エジプト・ポンド)、中距離で7エジプト・ポンド(5エジプト・ポンド)、長距離で10エジプトポンド(7エジプト・ポンド)となる。地下鉄料金の値上げは、2019年6月にも行われたが、カメル・アル=ワジル運輸相は8月16日の会見で、多くの電力消費と従業員の給与のため、と説明した。セレモニーの席でエルシーシ大統領は、赤字経営が続く状況において、地下鉄料金の適切な設定とサービスの効果的な実施を強化するよう、運輸相に指示した。

カイロ地下鉄は、「新型コロナ禍」以前では1日当たり約300万人の乗客が利用していた、と運輸相は説明している。人口1億を抱える中、その中枢であるカイロでは引き続き、地下鉄の開発が進む。

(常味高志)

(エジプト)

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