香港と深センを結ぶ新たな出入境施設がオープン
(香港)
香港発
2020年08月28日
香港特別行政区(以下、香港)と中国・広東省深セン市を結ぶ7カ所目の陸路の出入境施設(注1)となる「蓮塘・香園囲口岸」(注2)の供用が8月26日に開始された。新型コロナウイルスの影響により、現時点では越境トラックの貨物検査施設のみ稼働しており、自家用車や越境バス・タクシー、および旅行客の通関サービスは提供していない。
同日開かれた記念式典には、李希・共産党広東省委員会書記、馬興瑞・広東省長、張曉明・国務院港澳事務弁公室副主任、駱惠寧・中央政府駐香港連絡弁公室主任、香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官などが参加した。
式典で林鄭長官は「蓮塘・香園囲口岸は深セン東部過境通道(Eastern Corridor)に直接つながっており、(深セン市と広東省恵州市を結ぶ)深恵高速道路と(深セン市と広東省汕頭市を結ぶ)深汕高速道路とも間接的につながっている。香港と深セン、および広東省東部間の移動時間は大幅に短縮し、相互の協力と地域の発展が今後促進されるだろう」と語った。また、林鄭長官は「東は蓮塘・香園囲口岸、西は深セン湾口岸を活用することで、深センと香港間の交通容量と物流の効率性が大幅に向上し、他の6カ所の出入境施設の利便性も向上するだろう」との見方を示した。
業界団体からは新しい出入境施設の開業を歓迎する声が上がった。コンテナ運輸業職工総会と港粵運輸従業員協会は「新型コロナウイルスの影響により、通関手続きが大幅に追加され、所要時間が長くなっていたが、新たな出入境施設が開業したことで交通渋滞は緩和されるだろう」と指摘した(「香港経済日報」8月26日)。香港中華廠商会聯合会の呉宏斌会長は「(既存の出入境施設の)文錦渡と沙頭角は設計が古く、通関手続きに時間を要していたが、蓮塘・香園囲口岸は円滑な物流を実現する上で重要な役割を果たすだろう」と述べた(「星島日報」8月26日)。
(注1)深セン湾、落馬洲、落馬洲支線、羅湖、文錦渡、沙頭角および蓮塘・香園囲の7カ所(2020年8月時点)。
(注2)深セン市側の正式名称は「蓮塘口岸」、香港側の正式名称は「香園囲辺境管制站」。具体的な位置や周辺道路地図は香港政府ウェブサイトを参照。
(吉田和仁)
(香港)
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