連邦参事会、航空管制会社のスカイガイドに対する経営支援決定

(スイス)

ジュネーブ発

2020年08月14日

スイス連邦参事会(内閣)は8月12日、スイス連邦が保有する航空管制会社であるスカイガイドに対して、2020年から2021年の2年間で最大4億スイス・フラン(約468億円、CHF、1CHF=約117円)の財政支援を行うことを決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により航空運送業界は大きな打撃を受け、スイス国内の空港を発着する航空便本数は95%以上減少している。スイス発着便やスイス領内を横断する民間機と軍用機に対する管制サービスを行うスカイガイドも、そのあおりで手数料収入が激減しており、現状では2020年8月から9月には債務超過となる恐れがあった。

同社の2019年末時点での自己資本総額は3億2,000万CHFだったが、航空運送業界のビジネス動向は先行き不透明であるため、2020年から2021年の損失は4億CHFと予想され、このままでは自己資本総額を上回る見通しだった。そのため連邦参事会は、スカイガイドの財政安定のため最大4億CHFが必要だとし、まず2020年補正予算の中から、2020年分の1億5,000万CHFを同社に資本注入するよう連邦議会に求めた。

一方で、支援の条件としてスカイガイド側にも財政規律を求める。既に、同社は職員給与の一時的な凍結やデジタル化推進による効率化などにより、2020年から2024年の間に9,000万から1億CHFの経費を削減することを決めている。これに加えて連邦参事会は、スカイガイドに対して2020~2023年戦略目標において航空管制官の定年年齢引き上げを命じ、労働組合と同社の間で定年年齢を現在の56歳から最低60歳に引き上げる共同計画の策定を2021年末までに求めている。

(和田恭)

(スイス)

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